農地転用の申請書で、作文が必要なのが「転用の理由」です。
過去事例があればそれをテンプレートとして使えますが、初めてのケースは理由について文章を考えることになります。
各市ホームページで「申請書の記載例」がありますが「理由」部分は空白になっているものが多い…。
いろんなケースがあるので、例を書きにくいのだと思います。
理由の記載に悩んでいる方へ参考になればと思い、「理由」を書くときのポイントや、実際に自分が書いた理由を例文として紹介します。
転用理由(転用目的)を書くときのポイント
正直に書き過ぎてはいけない内容とは、例えば「いらない農地があり、収益化したいから」のような記述。
これでは農地や農業を保護する農業委員会からしたら、反感を買う可能性があります。
「高齢化のため農地の管理が困難で」とか、「〇〇さんの要望に応えるため」などのやむを得ない理由や、前向きな表現にしましょう。
上記ポイントを踏まえて、各ケースごとの例文を挙げていきます。
必要なケースだけ選んでご覧ください。
①個人住宅の転用理由
下記の設定に沿って、2パターン紹介します。
【例文1】親の農地を、子が借りて住宅を建てる設定
【例文2】農地を、他人が買って住宅を建てる設定
②集合住宅の転用理由
※5条の申請書を想定しています。4条の場合は、「譲受人の理由」部分だけを理由欄に記載してもらうといいと思います。
③分譲住宅の転用理由
宅地分譲でも建売分譲でも下記の理由でOKです。
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④太陽光発電の転用理由
※5条の申請書を想定しています。4条の場合は、「賃借人の理由」部分だけを理由欄に記載してもらうといいと思います。
※自分の経験では賃貸借の場合が多かったのですが、売買のときは「賃借人」→「譲受人」、「賃貸人」→「譲渡人」に置き換えてください。
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⑤駐車場敷地の転用理由
※5条の申請書を想定しています。4条の場合は、「譲受人の理由」部分だけを理由欄に記載してもらうといいと思います。
※賃貸借の場合は「譲受人」→「賃借人」、「譲渡人」→「賃貸人」に置き換えてくださいね。
駐車場への転用に関する記事
⑥資材置場の転用理由
【例文1】会社が農地を買い取り、資材置き場に転用する設定
【例文2】建設会社が公共工事のため、近隣農地を資材置場として一時的に借りる設定
理由テンプレは毎回使いまわしても問題なし
よくある農地転用ケース6つの「転用理由」例文を紹介しました。
自分は300件以上の申請書を作成しましたが、このテンプレが使えるケースは必ず使い回していました。
毎回同じ文章で申請して問題ないの? と不安になる方もいるかもしれませんが、使い回しに対して一度も指摘を受けていません。
行政の担当者は、毎月多くの申請書を見ているので、前回の申請書の詳細まで気にしておらず、覚えていない可能性もあります。
覚えていたとしても、「毎回同じ文言使っているな」と思っている程度。文章の使い回しが、審査上の問題になることはないですし、許可/不許可を左右することもありません。
使えるテンプレは活用し、書類作成を効率化していきましょう。
コメント
農地転用で某市役所農業委員会が反対しているため、いくら50年以上前から
農地(登記地目畑)で畑で亡き父が登記したが、これは登記誤りであり、大きな岩や大きな石が多く当時から耕作出来ず、50年後の現在では、土地は荒れ放題であり、当然農地として維持管理は不可能であり、重機にて整地したとしても農地としての維持は不可能であり、現在は原野化して、笹と藤のツルなどが覆い茂り、土地に入れず現況地目は長年(50年前より)原野ですが、農業委員会は再三、地目変更登記に反対されたままです。
生駒純一郎様
コメントをいただき、ありがとうございます。
登記は畑であるものの、実態は耕作できる状態とはかけ離れているのですね。
コメントから察しますと、いろいろ足を運ばれて、制度についてもよくご存知かと思いますが
「土地の性質上、耕作が不可能」な場合は本来、「非農地証明」や「農地法の適用を受けないことの事実確認証明書」を交付してもらうことができるはず…。
その交付があれば、農地転用が不要になり地目変更が行えるという流れです。
ただ、青農地(集団農地)である場合には、上記の対応も難しくなってくるかと思います。
青農地でなくても、「土地の性質上、耕作が不可能」であることの判断は市農業委員会です。
残念ながら、農業委員会の構成員や、長年の雰囲気(前例がない、などと言う理由だけで動かないところも…)に左右されるところもあるかと思います。
そもそもですが、「農地法」の縛り自体が不条理なものだと、個人的には感じております。
自分の土地なのに地目が農地というだけで自由に使えない、なんておかしな話です。
生駒様は長年に渡り、市に働きかけをされているかと思いますが、おひとりで戦われるのは非常に大変だと思います。
そちらの地域で実績の多い土地家屋調査士や、行政書士に動いてもらうのはどうでしょうか?
相談段階であれば、料金をとらない事務所も多いです。
(もし、すでに相談済でしたらすみません)
また、地目変更の申請先である法務局に働きかけをしてみてはいかがでしょうか?
(法務局もその法務局次第で、話がわかってくれるところとそうでないところの落差は激しいので…
どのくらい期待ができるかわかりませんが。)
生駒様と同じような境遇に困り果てている方は、少なくないと思います。
状況がすぐに変わらなくても、「困っている人がいるから対応して」という声を届けることは大事だと思っています。
当人だけでなく、専門家や、その農地を購入したい方など、いろんな立場や視点からの訴えを農業委員会は聞くべきです。
少し話は逸れますが、地目「農地」であっても、一時的に貸すということは可能です。(一時転用という制度です。)
例えば、近くで工事があり、現場小屋や資材置き場として工事期間だけ使うような場合。
たとえ青農地であっても「一時転用」なら可能性があります。
しかも一時転用中の固定資産税は農地課税のままです。
このようなチャンスがあれば、借りてくれる業者が整地してくれるので、ツルなどは無くなり土地に入ることができるようになるかもです。
長文になってしまいすみません。
せっかくご相談いただいたのに、「こうすれば地目変更できます」と言った有力な情報を提示できず、申し訳ありません。
わたし自身にできることは、このブログで農地転用の難しさで困っている人の現状や、対策できるケースについてはその対処法などを、発信することだと考えています。
生駒様のような方のお役に立てる記事を書けるようになるまで、これからも勉強と経験を積んでいきます。
10年近く農地法申請に携わってきましたが、改善された制度もいくつかあります。
遠くから応援することしかできませんが、お悩みの土地について今後よい展開がありますこと、農業委員会が適切な処置をすることを祈っております。
芹沢ヒノキ
50年前の登記地目は畑ですが、亡き父の登記間違いで、現況地目がどんな状態であっても農地転用できないなら、どうすれば地目変更できるのでしょうか?今後も農地として活用は不可能です。