無断転用とは?罰則や申請費用、無断転用が多い理由や事例など

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農地転用

無断転用とは、農地法の許可を受けずに転用している状態。

自分の経験上、農地法案件の2割3割がこれに該当していました。


農地法の手続をしていくなかで、絶対に遭遇するテーマ。

この無断転用の実態について詳しく取り上げます。



無断転用の具体的なケース

無断転用に多いのは、こんなケース。

  • 農地の一部に不要品や廃材が置いてある
  • 敷地の隅に小さな倉庫を建てた

でも一部は畑として作物も育っている…そんな状況。

農業委員会から注意を受けたら、可能な限り下記の対応をしてもらいます。

  • 不用品をどかす
  • 駐車をやめる

これだけでも原状回復(農地に戻した)と認められる場合も。


最終的に無断転用とみなされるかどうかは、農業委員会が現地確認して「どう受け止めるか」です。


無断転用には罰則がある

無断転用をした場合、下記の罰則があります。

  • 3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられる場合がある(農地法64条、67条)
  • 原状回復の命令がされる場合がある(農地法51条)

とはいえ、自分の周りで実際に処罰や命令を受けた話は聞きません。


なかには処罰を受けた人もいるかもしれませんが、交通違反みたく日常的な取り締まりが無いのは確か。

法令遵守すると手続き費用の負担が増える。そう考えると、バカバカしく思えるかもしれません。

実際、無断転用が多い理由の一つです。



無断転用が多い理由

5年前。とある市の農業委員から見せられた「無断転用農地リスト」。9~10ポイントの文字がぎっしりのA3用紙、十数枚の束です。


なぜ、こんなにも無断転用が多いのか? 自分の経験から下記3つの原因があると推測します。

  1. 転用手続きが必要であることを知らない
  2. 転用手続きが必要なケースに「該当している」と気づかない
  3. 手続きが必要と知っていてもやらない

上記1は農地法の知識が無く、また知る機会にも恵まれなかった人。


上記2は転用手続きを知っていても、「転用=他人に売るとき・貸すとき」と認識している人。

農地の一部に自家用車を停めたり、不用品を置くスペースを作ったり。この程度で

「転用」に該当するとは思わなかった…

という声もよく聞きます。



上記3は

自分の土地を自分で使うのに。

どうして余分な手続き費用を払う必要があるんだ!

と考えている人。


地目が農地でなければ、自分の土地をどう使おうと本人の勝手。農地であるばっかりに、手続きや費用がかかるのは気の毒にも思います。


無断転用について農業委員会から指導されるきっかけ

農業委員会は定期的に農地の調査はするけど、一律に勧告はしない。農業委員の話から、無断転用の対象が多すぎて費用と労力が追いつかない様子。


しかし、農業委員会も個別に指摘・指導はします。指摘された場合は、前述したように農地の状態に戻すか、是正の手続きをするかの二択。

※是正の手続きについては後述します。


たくさんの無断転用地のなかで、指摘される事例とは? こんなきっかけがあります。

  1. 無断転用している農地を他人に売ることになった
  2. 農地転用申請をしたら、譲渡人の(別の)無断転用農地が発覚


きっかけ①無断転用している農地を売買するとき

無断転用を是正するきっかけで、多いのがこのパターン。

  1. 耕作をやめた農地を物置にしていたら、土地を買いたいという人が現れた
  2. 売るために登記のため)農地法の許可が必要になった


本来は、上記1の時点で農地法4条申請すべき。それをすっ飛ばし、上記2の5条申請をしたもんだから、無断転用が問題視されたのです。


きっかけ②転用申請をしたら、譲渡人に無断転用農地があった

農地を売るため5条申請をしたら…。譲渡人の所有農地に「無断転用農地がある」と発覚。

申請地とは直接関係ない土地ですが、農業委員会から指摘を受け是正することに…。


このようなケースでは、

無断転用農地の是正をしない限り、申請地の許可証を発行しない

とする厳しい農業委員会もありました。


無断転用を是正する手続き2つ

無断転用を是正する方法は、2つあります。

  1. 農地法の申請
  2. 非農地証明

※上記を選択できるとは限りません。順番に解説します。


是正1:農地法申請

これが一般的な方法。通常申請の添付書類に加えて「始末書」を追加して申請します。

  • 申請の締め切り
  • 審査期間
  • 許可証の内容

などは、通常の申請と変わりません。始末書の詳細や、申請書の注意ポイントなどは、

「無断転用農地について農地法の申請をするときは」にまとめています。


是正2:非農地証明

非農地証明とは、一定の要件を満たした場合に、「農地でないことの証明を受けるもの。

以下その要件です。

  • 農地法の施行前(H27.10.21)から非農地である
  • 自然災害により農地への復旧が困難となった
  • 農地法施行後に農地だったが、耕作不適な土地で10年以上耕作放棄され、農地復旧が難しいと判断される
  • 農地法施行後に許可を受けず転用し、10年以上経過し、農地に復旧することが著しく困難(物理的・経済的)である


厳しい要件であり、非農地証明の手続きに対応していない市もあります。

農地法の申請ができない特別な事情があるときに限り、この手続きが対象になります。


無断転用の申請費用

自分が勤務した行政書士事務所の報酬は下記になります。

  • 無断転用の農地法申請8万円~(通常の農地法申請と同じ)
  • 非農地証明5万円~


※ただし、農地法申請中に無断転用の土地が見つかり、追加で「無断転用の農地法申請」をする場合は、

  • もともと依頼された農地法申請:8万円~
  • 追加になった無断転用の農地法申請4万円~(半額)

半額にするのは、農地所有者への配慮です。


農業委員会からの指摘を受けると、素直に手続きをとる無断転用者が多いです。

が、農業委員会や行政書士から協力を頼まれるかたちで渋々、応じる人がいるのも事実。


無断転用者の事情や気持ちを考えながら、行政との調整を図っていく。それが代理申請者に求められる役割だと思います。


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