農地転用には、計画によって転用できる面積に上限があります。
上限の面積も、個人住宅の場合と農家住宅の場合などによって変わります。
今回は、下記について解説します。
- それぞれの面積上限について
- 面積制限の例外について
- 面積を考えるときの注意点(併用地や分筆について)
個人住宅への農地転用は500㎡まで(敷地合計)
農地転用でとても多いのが、個人住宅を建てる計画(一般住宅)。この場合の転用面積は、敷地が500㎡以内に限られます。
なぜ500㎡以下なのでしょうか?
農地法では、転用面積は「必要最小限の面積」としています。
(一般住宅という目的については、500㎡が相当と判断されたのだと推測します。)
転用面積の上限は、下の表のように計画によって変わります。
転用目的 | 転用できる面積の上限 |
一般住宅 | 500㎡まで |
農家住宅 | 1000㎡まで |
事業用 | 上限なし |
農家住宅が1000㎡まで認められるのは、農作業のためのスペースが必要と考えられているから。
※農家住宅とは?市街化調整区域内に、「農業に従事される」人が建てる住宅のこと。
農業従事者かどうかは、耕作面積(農地台帳)や農業従事日数を基準に判断されます。基準の詳細は、各自治体によって違います。
事業用の目的なら面積制限はありませんが、だからと言って転用が簡単とも限りません。詳しくは後述します。
住宅の転用「500㎡まで」に例外(有効面積について)
個人の住宅建築のために転用できる面積は、500㎡までが基本。この例外として、敷地500㎡を越えて転用できる場合があります。
それは、有効面積が500㎡に満たないとき。
有効面積とは、実際に使うことができる面積です。
例えば法面(人工的に作られた斜面)や進入路。これらは使うことができないスペースなので、有効面積から除外されます。
ちょっと極端ですが、分かりやすくするため下図を例にします。このような旗竿地なら、斜線部分は進入路なので有効面積に含まれません。
敷地全体は514㎡ありますが、進入路22㎡の分は除外できる。
514㎡-22㎡=492㎡(有効面積)
有効面積が500㎡以下なので、一般住宅への転用が認められます。(その他の条件や、計画が適正であることが前提です。)
有効面積についてもう少し踏み込むと、農地転用には建築面積にも条件があります。
「建ぺい率22%を超えていること」です。
建ぺい率は、建築面積÷敷地面積×100で算出。この敷地面積も有効面積で計算します。
建ぺい率について詳しくはこちら。
農地転用「500㎡以内」の注意点:併用地も含む
一般住宅の面積制限で注意したいことが1つ。
それは500㎡以内の基準が、転用する敷地の合計面積であるということ。
例えば転用する農地が500㎡以下でも、併用地を加えると500㎡を越えてしまう。この場合はアウトです。こんなケース↓
併用地について、詳しくはこちら。
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面積上限を越えるとき:農地の分筆に注意
どうしてもこの農地に家を建てたい。でも農地の面積は800㎡ある。
そんなときは転用面積を500㎡以下になるよう分筆します。
ただし、「500㎡以下になるなら、どのように分筆してもOK」ではありません。
分筆の仕方によっては、農地転用の申請が難しくなってしまうことも。
例えば、隣地に接道のない農地があって、進入路を残す必要があったとか。
分筆して残すほうの筆の面積があまりにも小さいと、「実際に耕作していくことができない」と指摘され問題になります。
分筆プランを立てたら、分筆前に農業委員会へ事前相談しておきましょう。その後の農地転用の許可申請がスムーズに進むので。
分筆や土地の立ち合い前に、草刈りが必要な土地もあります。大変な労力が必要な状況なら、業者に頼みましょう。
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事業用なら、農地転用の面積制限なし?
事業用の転用なら、転用面積に制限はありません。(駐車場でも太陽光発電でも、事務所でも…。)
ただ事業用なら大規模な転用が簡単かと言うと、決してそうではありません。
面積が大きくなれば開発許可など、関係法令の申請基準を満たす必要も出てきます。
さらに県や市によっては、独自の届出や協議が必要になったりもします。協議といっても申請に近い労力や手間がかかる内容もあるので、要注意。
農地転用のほかに関係する申請や届出が増えると、時間も費用もかさみます。
関連する法令も少なく、申請も煩雑にならない計画面積は?
自治体や都市計画区域によっても幅がありますが、一般的に1000㎡以下であれば、実行しやすいかなというのが個人的な感覚です。
自宅兼事業所にするとき、転用面積の制限はどうなる?
一般住宅の転用面積は500㎡まで。一方、事業目的の転用面積に上限はない。
では、自宅と事業所が一体(自宅兼事業所)の場合、転用面積の制限はどうなるの?
自分の経験では、下記の対応がとられました。
まず、一般住宅敷地と事業用敷地を完全に分けること。そのうえで「一般住宅の敷地部分が500㎡以内であれば、全体の敷地面積の制限はなし」。
担当した下記2つの案件は、上記の対応にて転用許可を取得しました。
- 自宅と鍼灸院
- 自宅とレンタルスペース(貸し会議室)
いずれも建物は一体ですが、事業専用の部屋があり、住居部分とは明確に分けられます。
駐車場も、個人用と来客用で別々に設置。
そのため建築面積も、建物以外の敷地(駐車場や進入部分)についても求積が可能でした。
またこの2つの案件は共通して、敷地面積の合計は1000㎡以下です。
申請先によって許可基準や審査は異なります。同じ条件なら必ず転用できるとも限りませんが、このような転用事例があることもお伝えしておきます。
まずは農業委員会へ相談してから、計画を進めましょう。
農地転用の基礎情報について、こんな記事も書いています。
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