農地法の手続きをしていると、併用地のある申請が出てくると思います。
併用地とは言葉の通り、申請地(農地)以外に併用する土地のこと。
併用地=農地ではないので、併用地そのものに農地法の許可は不要です。
が、申請地と一体利用する場合には、転用計画にその併用地も含めて申請することになります。
この記事では、具体的な申請ケースを例に、併用地がある場合の申請書や公図、配置図の書き方について解説してます。
併用地がある申請ケースとは
上の図、2筆を1つの敷地として住宅1棟を建てたいとき。
- 申請地(畑、205.25㎡)と
- 隣接した宅地157.27㎡
農地法申請では、この宅地157.27㎡ = 併用地 という扱いになります。
今回の例では、併用地は宅地でしたが、他にも
- 山林
- 原野
- 雑種地
- 池沼
など、農地以外の地目は、併用地の対象になります。
農地転用の計画のなかに含まれている、農地以外の土地はすべて併用地です。
併用地を含むケースは、下記のケースによく見られます。
- 申請地の面積が小さいとき(この筆だけでは家が建たない)
- 大規模な宅地分譲計画(多くの筆を含むとき)
なかには申請地よりも、併用地の面積のほうが大きいこともあります。
手続き上、何が変わる?(申請書、公図、配置図)
申請地に併用地が加わったからと言って、提出する書類の様式は変わらず、添付書類が増えることもありません。
そのため、見積書や請求書の金額も一般的には変わりないはず。
併用地の追加によって変わるのは、転用計画に関する部分の記載です。具体的には下記の点。
- 申請書の転用計画を記載する箇所
- 公図写しに併用地があることを明示
- 配置図は、申請地+併用地 を敷地にする
以下、1つずつ解説していきます。
申請書の書き方(「所要面積」は併用地を含めて)
申請書の様式一号の一番最後に転用計画について、面積等を記載する部分があります。
そこの「所要面積」欄を、申請地の面積 + 併用地の面積の合計にします。
※併用地が複数あるときは、すべての併用地の面積を足します。
さらに、「備考」欄に併用地の情報を記入。
例 併用地 〇〇ー〇番(地番)、宅地、157.27㎡
※併用地が複数あるときは、すべての併用地の情報を書きます。
公図写の作り方:併用地に色塗り+土地情報を記載
この記事冒頭の画像のように、
- 併用地の筆には、「併用地」の記載
- 併用地の筆に色を塗る(申請地とは色分けする)
- 併用地の地番、地目、面積、所有者を記入
についての情報を加えるようにします。
申請先によっては、計画地全体を赤色線で示すよう指示があるところも。
申請地+併用地の周囲を赤色線にすると、より分かりやすくなります。
併用地がありの配置図(作成例)
申請地地と併用地にまたがって家を建てる場合に限らず、
建築部分が申請地のみのケースでも、必ず併用地も含めた配置図にしてください。
たとえば、こんな感じです↓
併用地があるときの注意点①建ぺい率
併用地があるときに注意したいポイントを2つお伝えします。
1つめは、転用計画の建ぺい率について。建ぺい率は、
申請地+併用地(敷地面積合計)に対して、22%以上であることが必要。
下図を例に、建ぺい率を計算してみます。
敷地面積 = 申請地205.25 + 併用地 157.27 = 362.52㎡
建ぺい率 = 80㎡(建築面積) ÷ 362.52㎡ =0.2206...
≒ 22%
となり、審査基準をギリギリのところでクリアしていることになります。
併用地があるときの注意点②そもそも併用地の情報が来ない
農地法申請には併用地の情報が必要。でもそれを知らない、依頼人(申請人)や仲介者もいます。
転用計画に併用地があると伝えてくれない可能性も。
申請地内に建物がすべて収まり、配置図にも併用地が入っていない。こんなときは特に、こちらもなかなか気がつきません。
添付することになっていた売買契約書を確認すると、併用地があった!とか。
申請地だけだと、進入路が無い・・・おかしいな?とか。
何か引っかかる情報を見つけるまで、併用地があることに気づかないときあります。
依頼主や仲介業者に、「併用地は無いですか?」という聞き方はピンとこないもの。
「計画の敷地は、農地1筆で全部ですか?」など、相手にわかりやすい聞き方を工夫しましょう。
今回は併用地の概要をまとめましたが、実は「土地(筆)の一部だけを併用地にする」ケースもあります。
そのような案件に立ち会ったときには、ぜひ下記も参考にしていただけると嬉しいです。
最後まで閲覧いただき、ありがとうございました。
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