農地を(事業用)駐車場に転用したいとき、申請用の配置図が必要。
アスファルト舗装や精算機付きの コインパーキング なら、整備機器メーカーがレイアウト図を作成してくれるかもですが、それはレアケース。
実際こんな用途では、砕石敷+ロープの区画だけ。
- 特定の店舗に貸す
- 従業員駐車場として使用
配置図は、行政書士事務所で用意することが多いです。
その場合、どんな配置図を用意したらいいのか?
自分が作成する配置図(例)と記載ポイントを公開します。
事業用の駐車場4パターン
事業用駐車場と言っても、用途や目的は色々です。
自分が取り扱った事業用駐車場への転用事例はこの4つ。
- 駅近駐車場
- 店舗用駐車場
- 工場の従業員駐車場
- 社員寮の駐車場
2の店舗用には、
- 店舗新設にあたり従業員駐車場を用意するパターンと
- 顧客が増え、来客用駐車場を追加パターン
があります。
駐車場には「新設」と「追加」があり、事業計画の内容も変わってきます。
3の工場用駐車場は、賃貸借契約の期間終了に伴い、新しい駐車場を借りるための依頼。
4の社員寮は、現状の駐車台数が不足をしており増設という目的でした。
駐車場の配置図:作成例
参考図例を作成しました。(※土地も計画も実在しません。)
「新しくお店をオープンするに伴い、隣地の農地を駐車場にしたい」という設定にします。
農地転用申請の配置図には、いくつか必要な記載事項があります。
上記の完成図を見つつ、記載事項を確認するとわかりやすいかと思います。
配置図に必ず記載すること
必要な記載事項は下記になります。
- 駐車場の区画:1台当たりの大きさ、台数、面積
- 接道からの進入部分:矢印で表示
- 排水計画:雨水の排水先を矢印で表示
- 接道の幅員
- 見切り壁またはフェンス
※排水計画、接道の幅員や見切り壁などは、駐車場の転用に限らず、農転の図面に必要な情報です。
1の駐車場 1台当たりの大きさ は、区画の長辺と短辺の長さを表示。
2の進入部分は、縁石があるなど進入できる箇所が限られる場合に記載。
こうした情報を配置図に入れ込むためには、事前の情報収集が必要です。
配置図を作る前に、確認しておくことや注意点をお伝えします。
事前に確認すること&注意点
駐車場の配置図を作る前に、下記について確認・注意を。
- 実際に駐車場として成立する土地か?
- 1台分の区画の大きさ
- 傾斜や段差をチェック
- 配置する台数と必要台数は合っているか?
- 敷地面積に対して駐車台数は適切か_
上記チェックポイントについて、1つずつ詳しくみていきます。
チェック①その土地、実際に 駐車場として成立する ?
当然ですが、こんな農地は駐車場にできません。でも実際に、転用依頼がきます。
これは、どういうこと…?
ただ地目を変えて土地を売りたい人・会社が、適当に理由をつけて依頼をしてくるパターンです。
実際、転用目的:駐車場で農地法の許可をとり、太陽光発電敷地になった事例を農業委員会から聞きました。
現実的でない申請は、許可がおりません。このような依頼には気を付けてください。
チェック②1台分の区画の大きさ
区画の大きさは、
などによって変わります。
普通乗用車の区画は、2.5m×5mが一般的。
トラックはその大きさに合わせて、区画や回転スペースを広めにとります。
1台あたりの区画の大きさにより、駐車台数も変わってきます。
チェック③傾斜や段差を見ておく
傾斜部分や段差があれば、駐車は難しいのでその部分を外します.。
土地の有効面積が減ると、区画も少なくなる。必要台数を確保できるのか?
確認と、配置の工夫が必要です。
必ず現地を確認してから配置と台数を決めましょう。
チェック④配置した台数と、必要台数は合ってる?
必要台数について「なぜそれだけの台数が必要なのか」、根拠が重要。
でも依頼は大体こんな感じ…
- そもそも必要台数が決まってない
- 必要台数の根拠は特にない
事業用駐車場への転用、必要性に説得力を持たせる理由の作り方 で、自分がどのような理由づけで申請したかをまとめています。良かったら参考にしてください。
必要台数の根拠が重要なのは、転用目的を偽って申請するケースが問題視されているから。
自分が申請する農業委員会の審査は厳しくなり、ついに必要台数の算出根拠まで必要に…。
配置する台数が、必要台数を満たせなければ「計画性に問題あり」ということに。
配置台数=必要台数でなければなりません。
チェック⑤敷地面積に対して駐車台数は適切?
必要台数=配置台数が決定したら、次はその台数が「敷地面積に占める割合」について考えます。
駐車場への転用は、建ぺい率のような基準はありませんが、レイアウトによっては
と突っ込まれます。
敷地に余りがあるなら
- 傾斜部分などのデッドスペースは図面に斜線等で示す
- どうしても余白があるなら、駐輪スペースを設ける(※あくまでも「計画」です)
など工夫しましょう。
配置図を書きやすくするための工夫
配置図の注意点や記載ポイントを網羅しようとすると、レイアウトが浮かばなくなることも。
- 車両をどのように何台停めるか
- その必要性・根拠
まで考えての作成は、難しく時間がかかる作業です。
そんなときに、自分が心掛けていること。
- 現地を見る
- 駐車場利用者の視点で考える
最初に現地視察に行くとき、必ず写真を撮るようにしています。色んな角度からたくさん撮ります。
写真を見て現地を思い浮かべたり、もう一度 現地に行くのもいい。
実地をイメージしないと、現実的で説得力のある図面は描けません。
現地に行った(もしくは想像した)ら、利用者の視点で
- どこから進入するか
- この角度で駐車できる?
- どの向きで入ると切替しやすいか
- 停めにくい区画、周りに駐車されると出られない区画はないか
実用性を見つつ、配置を決めます。
次に、駐車場の管理者・経営者の視点で
などを考えます。
当事者になりきると、色々な視点が出てきます。
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