下図のような場合が実際にあります。
Aさんの農地に、Aさんと息子Bさんが二世帯住宅を建てる。
Aさんにとっては自己所有地の転用なので4条申請。
しかしBさんにとっては、親の土地を転用するので5条申請ですね。
この2人が転用者となる場合の申請形態はどうなるのか、解説していきます。
【結論:5条申請】使用貸人は、使用借人でもある
「親であるAさん」は農地所有者=使用貸人(譲渡人)ですが、
申請としては5条となります。
申請の権利関係が使用貸借のとき
- 使用貸人=親(Aさん)
- 使用借人=親と子(AさんとBさん)
申請の権利関係が 売買や譲渡なら
- 譲渡人=親(Aさん)
- 譲受人=親と子(AさんとBさん)
親子なので、実際には使用貸借のケースになるかと。
変な感じがしますが申請書には、使用貸人と使用借人の両方にAさんの氏名を記載。
注意点① 使用貸借契約書
申請先によっては使用貸借契約書の写しが必要。そのとき、契約書の記載に注意を。
※不要な場合は、この章は読み飛ばしてください。
【 使用貸人=親(Aさん)、 使用借人=息子(Bさん) 】としがちですが
申請書と権利関係を統一すべき。
使用貸借契約書でも下記のように使用借人は二人にしておきましょう。
- 使用貸人=親(Aさん)
- 使用借人=親と子(AさんとBさん)
注意点② 資金証明書は連名
農地法申請では、使用借人全員の資力証明書が必要です。
それぞれの転用計画者が、計画を実行するだけのお金があるのか、確認するため。
今回は使用借人は親(Aさん)と息子(Bさん)の二人分の資力証明を用意。
二人分の資力の証明には、下記4つの方法があります。
- 二人の名義(連名)で融資を受けている
- どちらかが連帯保証人のかたちで融資を受けている
- どちらかが単名で融資を受け、もう一人が残高証明書を発行する
- それぞれの名義で残高証明書を発行する
※残高証明書については、通帳の写しを可とする申請先もあります。
資金証明書については、下記の記事で具体的に解説しています。
譲渡のときは、登記に注意
あまりないですが、親子連名での申請で、権利関係が譲渡のとき。
譲受人が親子なら、土地の名義も連名で登記するということです。
その前提に間違いがないか、申請人に確認をしておきましょう。
まとめ
親の農地に、「親子」が二世帯住宅を建てるときは、5条申請。
使用借人(または譲受人)は親子になります。
注意点は、
- 使用貸借契約書を添付する場合には、使用借人を「親子」とする
- 資金証明書は親子2人分を用意
連名申請はよくありますが、資力証明書が人数分必要ということは
住宅メーカーや不動産業者にあまり知られていません。
夫婦連名で農地を購入し家を建てるケースもよくあります。
譲受人は夫婦2人なので、2人分の資力証明書が必要なことを覚えておいてください。
仲介者からの依頼なら、資力証明について事前に説明しておくと、不備が防げます。
このブログでは、あまり情報がない農転の疑問について
自分の経験をもとに実例を紹介しています。
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