抵当権が設定された農地の転用:同意書・承諾書(参考様式あり)について

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抵当権が設定された農地を転用するときは 農地転用
早坂言さんによる写真ACからの写真

転用申請地の土地全部事項証明書を見ていると、抵当権がついていることがあります。


抵当権つきの農地も、転用は可能

申請時に抵当権を外す必要はありませんが、別途必要になる書類があります。


この記事では、

  • 抵当権とは何か
  • 抵当権がついた農地を転用するときの必要書類

について解説します。


抵当権って何?(具体例で解説)

「抵当権がついている」とは、その土地が借金の担保になっているということ

具体的なケースで考えてみます。

申請地(農地)の所有者をAさんとします。Aさんは、B銀行から500万円を借金。


B銀行は、将来返済してもらえないと困るので、保険をかけます。つまり、Aさんの所有する農地(申請地)を担保にします。


担保にした土地は、Aさんが返済できない場合に競売にかけられ、そこで得た売買代金を弁済に充てることができます。

このように抵当権土地を担保に弁済を受けることができる権利のこと。

また、この抵当権という権利を実行できる者(ここではB銀行です)を抵当権者といいます。


抵当権を設定するメリットは?

もう少し抵当権について掘り下げます。なぜ借金をして土地を担保にする場合、抵当権を設定するのでしょうか?


前章の例を使います。

AさんはB銀行のほかにも、友人Cさんに200万円の借金をしていました。そのような場合、Aさんは友人Cさんへの弁済を先に行ってしまう可能性があります。


そんなとき抵当権を設定しておくと、抵当権者(B銀行)は他の債権者(=友人C)より優先して弁済を受けることができます。


友人CはB銀行に比べて不利ですが、友人Cも抵当権を設定することができます。友人Cが抵当権を設定した場合、それは第二抵当権となります。

B銀行が返済を受け、その次に優先して友人Cが弁済を受けられます。

もしも返済者Aさんが、別の知り合いDさんにも借金をしていたら。友人Cは知り合いDよりも先に返済を受けられるので有利。


抵当権がついているか?確認する方法

抵当権がついているかどうかは、その土地の全部事項証明書を見ればわかります。

権利部(乙区)(所有権以外の権利に関する事項)という欄を見ます。

抵当権が設定されていると、「登記の目的」欄に「抵当権設定」と記載が。


その横の「受付年月日・受付番号」は、

抵当権設定を受付した年月日と、その登記内容に付された番号。

※この情報は、これから説明する必要書類(同意書・承諾書)の作成に使います。


一番右の「権利者その他の事項」欄は、登記された抵当権についての詳細情報。

  • 債権額
  • 利息
  • 損害金
  • 債務者
  • 抵当権者
  • 共同担保

など。


この権利部(乙区)にたくさん記載があり、読んでいくと抵当権が抹消されていることも。

第二抵当権が設定されている場合もこの欄で確認ができます。見落としのないよう丁寧に確認しましょう。

抵当権の設定があるとき、農地法申請で必要な書類


申請地に抵当権が設定されている場合、権利者の同意書または譲受人の承諾書が必要。


どちらが必要になるかは、申請先の市町村によって異なりますが

いずれも抵当権を巡る当事者間のトラブルを未然に防ぐための趣旨であることは共通。


簡単に内容をまとめると、

権利者の同意書

抵当権の権利者=抵当権者(銀行など)

農地法を申請することにつき同意をもらう」という内容。


譲受人の承諾書

譲受人とは、農地法申請をして許可後に転用する人

「転用者として、申請地に抵当権がついていることを承諾しています」という内容。


それぞれ詳細を説明します。

抵当権者の同意書について


抵当権は民法上の問題であり、農地法とは直接関係がありません。

抵当権者の同意を必要とするのは、当事者同士のトラブルを事前に防ぐため。


抵当権者からすると、土地を担保にお金を貸したとき、

「将来その土地が農地転用されて、別の所有者や利用者の手に渡る」のは想定外

そのため抵当権者の了承を得て申請をするように、この同意書を必要としています。


抵当権の同意書:参考様式

同意書の書式は、市町村によって規定があればそれを使用しますが、任意である場合も。

自分が使用していた同意書に近いものを、参考用に作成したので掲載しておきます。

記載事項は、

  • 抵当権者の住所
  • 抵当権者の氏名
  • 抵当権者の押印
  • 申請に同意している旨
  • 申請地の情報(所在・地目・面積)
  • 転用者の情報(住所・氏名)

上記が記載されていれば基本的には問題ありません。

抵当権者に押印をもらうため、早めに作成・対応しましょう。


譲受人の承諾書について

こちらの書類も、当事者同士のトラブルを事前に防ぐという目的に変わりありません。

なぜ譲受人の承諾を求めるのか?

これは推察ですが、「立場が弱い方の視点に立ち、保護を図る」ため。


農地法の許可を受け実際に転用を始めたら、抵当権が実行された。

このとき困るのは?

譲受人です。

農業委員会は、譲受人に対して「自分が不安定な立場であることについて、きちんと理解したうえで転用する」ことを、この承諾書で確認しています。


抵当権の承諾書:参考様式

こちらも、自分が使用したものに近い参考様式を作成。良ければお使いください。

登場人物は転用者だけなので、記載事項は同意書よりもシンプルです。

  • 転用者の氏名
  • 転用者の住所
  • 転用者の押印
  • 申請地の情報

農地法申請の委任状に押印をもらうタイミングで、一緒に渡すといいですね。


まとめ

以上まとめると、、抵当権が設定された農地は、転用申請のときに

抵当権者の同意書 または 

譲受人の承諾書

が必要。どちらになるか、申請先の市町村にて確認して対応。


いずれの書類も、押印をもらう相手が存在します。

  • 書類の趣旨や
  • 抵当権の意味、関係者の立場など

しっかりと把握してから協力を仰ぐようにしないと、信頼を損ねる可能性があります。


農地法の依頼を受けたら、必ず抵当権があるかどうか全部事項証明書をチェックして、

準備や対応に備えてくださいね。


土地の登記について、もう一つ注意すべきなのが「仮登記」。

農地法申請をしていくなかで、必ず目にするときがきます。これも抵当権と同様、必要な書類と早めの対応が必要です。

仮登記がついている農地について 転用に必要な書類

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