土地改良区は、農業用水の管理をしている組合。
営農に必要な農業用水を、河川や湖などから農地へ引くため
その水路を整備しているところです。
この土地改良区の水路を使って水を受けている農地= 受益地といいます。
受益地である農地を転用するときは、
その改良区に対して手続きが必要になります。
【必要な手続き】受益地から除外する
転用する土地については、土地改良区の受益地から除外する必要があります。
転用すると、もう受益(水利)を受ける必要がないので、この手続きをします。
受益地について、農地法申請をするとき、
受益除外の手続きを済ませてから申請することになります。
除外手続きの流れや必要書類など、詳細はこちらの記事で解説しています。
【土地改良区・受益地】除外手続きの流れや必要書類、意見書手数料について詳しく解説
※受益除外の手続きをせずに、農地法の申請をすることはできません。
※具体的な手続内容については、土地改良区によって違うので
詳細は各土地改良区の窓口へご確認ください。
受益地だと、転用にどんな影響があるのか
転用したい農地が受益地であった場合、受益でない農地と比べて
- 時間
- 費用
が大きく変わってきます。
順番に具体的に解説します。
転用スケジュール全体に影響あり
土地改良区の手続きをしないと、農地法の申請ができないので、
申請前に、受益地除外の手続きが終わるよう逆算することが大事。
手続きにかかる期間は、それぞれの土地改良区によって違います。
2、3日で完了する改良区もあれば、2週間近くかかるところも。
さらに、受益地除外の手続きについて、毎月締切が決まっている改良区もあります。
その場合は特にスケジュール調整に気をつけましょう。
改良区に締め切りがあると、申請が1か月遅れることも?
もし受益地でなければ、今月の農地法申請に間に合うのに、
土地改良区の締め切りに間に合わず、来月の申請になるケース。
実際に多いです。
例えば、
- 土地改良区の手続きの締め切りが毎月15日
- 農地法の申請締め切りが毎月25日
と仮定します。
農地法申請の依頼を受けたのが7月16日だと、
本来、7月25日の農地法申請に間に合うはずですが、
土地改良区の締め切り(7月15日)を過ぎています。
そのため、最短スケジュールはこうなります。
- 8月15日に土地改良区の手続き
- 8月25日に農地法の申請
受益地であるがために転用が1か月遅れてしまう。
それほど大きな影響を受けることもあるのです。
受益だと、農地転用の費用も増える
受益地だと、下記の費用が追加されます。
- 受益地除外の手続きに対する報酬(行政書士への報酬)
- 土地改良区に支払う手数料(意見書発行手数料)
- 土地改良区に支払う決済金
上記のなかでも特に額が大きいのは、決済金。
決済金や意見書については、下記で詳しく説明しています。
受益地を確認するタイミングはいつがいい?
土地改良区の受益があるかないか、は重要な情報なのでできる限り早く、
その確認が必要。
前述したように、土地改良区の受益があると
- 時間的にも
- 費用面でも
大きな影響があるからです。
確認のタイミングとしては、
- 見積書を提示するならその前、
- 見積書が不要でも農業委員会へ事前相談に行くよりも前
には済ませておきたいところ。
自分の勤めていた行政書士事務所では、
依頼のあった「その日」に見積書を提示していたため、
依頼を受けたらすぐ、土地改良区の受益確認をしていました。
土地改良区がある地域で、農地法の申請をしていく方は、
受益確認を忘れないよう、習慣化しておくといいでしょう。
該当する土地改良区がわからない、という方へ調べ方を解説しています。
まとめ:とにかく早めの対応が吉
前述した内容をまとめると、土地改良区・受益地とは
- 土地改良区とは、農業用水を管理する組合
- 受益地とは、その用水路を使用している土地
- 農地法申請をする場合には、受益地から除外する手続きが必要
土地改良区の受益だと、こんな影響が出ます。
- 転用のスケジュールが遅れる可能性あり
- 転用にかかる費用が増える
上記に対応するためにも、早めに受益確認をしましょう。
受益であれば手続きに必要な情報を収集し、押印などの準備・対処を。
土地改良区について、こんな記事も書いています。
【土地改良区 決済金とは】なぜ必要?誰が払う?どうして高いの?
【決済金の困りごと】納付書名義≠支払者のとき、の問題と対処法
また土地改良区に関しては、色々なトラブルも経験しています。
土地改良区の手続きについて、より詳しく情報を知りたい方はチェックしてみてください。
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