いざ、この土地を農地転用しましょう、となったときにまず何から始めたらいいのか。農地転用の依頼を受けてから、農地法の申請、許可が下りるまでの流れと所要時間について、まとめます。
まずは基礎情報を集めよう
申請地とは、これから転用をしたい農地のことです。
農地法の許可を得るために申請する土地なので、申請地といいます。
一番最初にすべきことは、この申請地についての基礎情報を入手することです。
これは、申請の準備段階として絶対に必要なもの。
行政書士の方は、とりあえず農地転用の見積もりをお願いします、
と言われることも多いのですが、その場合でも最低限この情報は必須。
申請地の基礎情報とは
- 土地の地番
- 地目
- 面積
- 所有者
です。これらは、土地の謄本(登記事項証明書)や要約書があれば確認できます。
さらに、この申請地について、どのような転用をするのか確認します。
農地をどのように利用したいのか
住宅を建てたい、駐車場として貸したい、など農地以外にするなら4条または5条ですね。
農地のまま所有者を変えたり、賃貸借するなら3条になります。
農地法の申請の分類についての詳細は、農地転用とは何か を読んでみてください。
農地を転用後に利用したいのは誰か
農地を売買する計画なら、所有者が変わるので5条ですね。
所有者は変わらず自宅や自己駐車場に変えるという計画なら4条。
申請手続きに入る前に、ここまでの情報を抑えておくことが前提です。
また、理想としては、併せて申請地の現地を確認しておくことが望ましいです。
このタイミングで現地を見に行くことが難しい場合は、申請書を作成している期間に一度は現地確認に行きましょう。
情報収集と整理ができたら、申請の準備に入ります。
申請から許可までの流れ
一般的に、農地法の申請をして許可を得るまでの全体的な流れは
1.申請先(農業委員会)に事前相談する
2.申請書作成、添付書類を収集
3.農業委員会へ申請書を提出する
4.許可を取得
となります。
案件によっては、この過程にいくつかプラスして必要な手続きがあったりしますが、これが一番基本的な流れになります。
全体の所要時間
この1~4までの過程について、所要時間はどのくらいなのか。
結論から言うと、最短で1か月。
なぜかというと、農地法の申請には、毎月「締め切り日」というものが存在します。
その締め切り日以降、農業委員会が申請に対して許可をするかどうか、
審査をすることになっています。
その審査期間(標準処理期間といわれています)に1か月ほどかかるんですね。
締め切り日は、各市町村の農業委員会ごとに異なります。
つまり、こちらがどれだけ早く書類をそろえて申請をしても、提出してから1か月は審査待ちになる(上の3~4の行程だけで1か月要する)、ということです。
事前相談って何を聞くの?
申請書を提出するまで(1.事前相談~2申請書作成、添付書類を収集)には
どのくらい時間が必要なのか。
事前相談とは、農業委員会にこれから転用したい農地について許可の見込みがあるかどうか、確認をするものです。
ここで、最初に収集した申請地の基礎情報が必要になります。
審査する側も、この基礎情報がないと許可見込みの判断ができないので、必ず基礎情報について整理してから聞きましょう。
転用が可能かどうか、の返答はその場で返答をもらえる場合もあれば、確認して後日電話で返答しますという場合も。
後日の連絡も、次の日来ることもあれば数日かかることもあります。なので、事前相談~許可見込みの返答までに1週間ほどみておくといいでしょう。
事前相談は省ける?
では、そもそも事前相談は必須なのか。ベテランの行政書士には、事前相談を省略していきなり申請書を提出される先生もいますが、自分はどれだけ自信がある案件でも絶対に事前相談をします。
なぜなら、農地によっては申請をしても許可を取得することができない農地もあるから。
農地の種類によって許可見込みのある農地と、許可にならない農地の判断が分かれるのですが、それについては別記事で解説したいと思います。
また、案件によっては必要書類にプラスアルファで提出しなければならない書類があったりします。これについても、追々、個別の記事で紹介していきたいと思います。
依頼を受けておいて、いざ申請してみたら不許可になってしまった、とか、
依頼人に何度も書類の追加を頼むことになってしまった、
ということになれば信用問題につながります。
申請に不慣れな方は絶対に事前相談をしてから正式に依頼を受け、申請の準備に入ってください。
許可の見込みと併せて確認すること
申請地について許可の見込みがあることを確認できたら、
・申請の締め切り日
・申請に必要な書類(一覧表をもらえることが多いです。)
も聞いておきましょう。ここまでの確認が終わったら、申請書、添付書類の準備に移ります。
申請書、添付書類にかかる時間は?
これは、書類作成者の実力によって変わってくるのはもちろんのこと、ベテランの申請担当者であっても、申請人(=行政書士が提出する場合は依頼人、つまりお客さんのことです)次第でかなり違いが出てきます。
申請書については行政書士が代理で作成することができるのですが、
申請書に添付する書類には、申請人=依頼人本人でないと用意できないものがいくつかあるからです。
詳しくは必要書類についての記事で解説しますが、お願いした書類を早くそろえてくれる人もいれば、締め切り日ぎりぎりになってやっと揃う人もいます。
なので、まだ申請について不慣れな方は締め切り日まで1か月以上の余裕をもって準備を始めることをお勧めします。
例えば、農地法の申請依頼を受けたのが7月の10日だったとします。
農業委員会の申請締め切り日が毎月15日なら、直近の締め切り日は7月15日ということになります。
そこに間に合わせるには準備期間が5日間しかありません。その場合は、可能なら提出を8月15日の締め切り日に合わせる計画で調整することをおすすめします。
実際には、依頼人は少しでも早く手続きを済ませたい場合が多く、そんな悠長にスケジュール調整をしてくれないこともあります。
自分は締め切り日に依頼をうけて、そのまま当日に申請を出したことも何度かあります。
申請を経験する度に、自分なりの作業効率化の方法や要領を得てきます。確認すべきポイントを押さえて、実績を積み上げていきましょう!
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