転用したい農地は、農地法の許可を得られるでしょうか?
判断材料の一つに、農地の種類があります。
この記事で詳しく解説していきます。
- 農地の種類と内容
- 転用の難易度
- 転用できない農地
農地の区分と種類
農地は、県や市が指定をした区域ごとに、各種類に区分されています。
都道府県が指定しているのは農業振興地域。
将来に渡って農地として利用していくよう指定をした地域のこと。
この指定のあり・なしで、下記2つの地域に分けられます。
- 農業振興地域内農地
- 農業振興地域外農地
市町村が指定するのは、農用地区域=市町村の農業振興地域整備計画で設定した農地。
つまり、市町村が農地として利用を図っていくよう計画した区域です。
この計画の区域・区域外で、下記2つの地域に分けられます。
- 農用地区域内農地 = 青農地
- 農用地区域外農地 = 白農地
白農地は、さらに4つに分類。
- 甲種農地
- 第1種農地
- 第2種農地
- 第3種農地
転用される農地は、主に2種農地と3種農地
転用手続きで扱う農地のほとんどは、2種農地か3種類農地。
農業委員会へ農地の種類を問い合わせたときに、まれに第1種農地があります。
農業委員会としても、第1種とするか2種とするかの判断に迷う農地もあるそう。
種類別の難易度は?
難易度をまとめると下図のようになります。
難易度の高い順に解説していきます。
青農地
市が農地として保護していく、と指定した農地。青農地の状態では転用できません。
転用するためには、青農地→白農地へ変更する手続きが必要に。
詳しくは後述します。
第1種農地
営農状況が良い集団農地で、原則転用は不可。
しかし例外的に転用が認められる場合もあります。
具体的には、こんなケース。
- 一時転用(※1)
- 敷地の拡張
- ほかの地目の土地と一体利用する場合
(※1)一時転用については、こちらで解説。
第2種農地
土地改良事業の対象となっていない集団農地。
実際には、ほとんどの転用案件が許可になっています。
とする一部の市町村も。
2種農地を転用するときは、代替性検討表が必要。
申請の際はチェックしてみてください。
第3種農地
原則、許可の見込める市街化区域(用途地域)内の農地。
3種農地で転用できない事例は、自分の経験上ありません。
市街化区域を設定している市では、農地法届出により転用が可能です。
農地法届出は、許可申請よりも簡易的に転用できる手続き。
詳しくは農地法届出とは にまとめています。
青農地を転用するには
前章で、青農地は白農地へ変更する手続きが必要である、とお伝えしました。
転用したい青農地を農用地区域から外す手続き、農地利用計画の変更(農振除外)です。
この農地利用計画の変更(農振除外)を経て、白農地に変わった農地は、農地法の許可を取ることで転用できます。
青→白農地へ変えるのは、かなり難しい
この農地利用計画の変更(農振除外)の手続きは相当に高いハードル。
そもそも営農状態がとても良くて、市が保護すると決めた農地。
その指定を変えるには、それなりの理由や条件が必要です。
代表的な条件を挙げます。
- 農用地区域外の土地では実現できない(この場所でなければダメな理由がある)
- 集団農地の端部であること(周囲が三方農地になるときは不可)
- 関係法令の観点からも、実現可能
条件を満たし、転用できる事例は限られます。
自分が実際に農地利用計画の変更(農振除外)を担当したのは、3件ほど。
その経験についても別の記事で紹介できればと思います。
まとめ
以上にみてきたことをまとめると
①農地には定められた区域や種類がある
- 農業振興地域と農用地区域
- 甲種、第1種、第2種、第3種
②農地の種類で許可見込みもある程度判断できる
転用の依頼を受けた際、この農地は何種農地だろうか?と考える癖をつけると許可が見込めたり、農業委員会の判断が予想できるように。
職業病とも言えるかもしれませんが、ふだん農地を見かけると、無意識に「ここは何種農地かな?」と考えていたりします。
これから農地法に関わっていかれる方は、都市計画区域を考えながら街を見たり、農地の種類を考えながら田畑を見るようになるでしょう。
いつの間にか、街や農地の見方が変わっている自分に気づいたとき、転用許可見込みの判断力もきっと磨かれています。
転用許可の判断には、計画内容と都市計画区域も関係します。
こちらも参考にしてみてください。
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