農地転用の配置計画図:排水計画や見切り壁など、必要情報や書き方を解説

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計画図 農地転用
計画図

農地転用手続き(農地法4条・5条)の申請に添付する計画図は、

  • 配置図
  • 平面図
  • 立面図

など。計画内容についての詳細が確認できる図面全般をいいます。


この記事では、下記について解説します。

  • 許可審査のチェックポイント
  • 農転の図面に必要な情報と、農転仕様の図面の作り方


計画図の審査ポイントとは

農業委員会が、計画の適正判断で一番重視するのは、

隣地や周囲の農地に影響が無いかということ。


周囲への影響を判断する材料としては、下記をチェックしています。

  1. 雨水や生活排水(住宅などを建てる場合)の排水先を確保しているか
  2. 隣地との境を明確にしているか(見切り壁やフェンスなど)
  3. 転用する農地の面積は、最低限にしているか(建ぺい率
  4. 転用によって、隣地農地への進入が断たれるなどの影響はないか


上記は必須事項ですが、メーカーや設計元が用意する建築図面には、これらの情報が入っていないことがほとんど。


そこに農地法の審査に必要な情報を書き足したのが、今回解説する農転仕様の図面

この編集作業は、行政書士など代理申請者が行うことが多いです。


一つずつ具体的に解説していきます。


申請地の排水先を確認

用水路のイラスト

農転の審査では、必ず雨水と生活排水の排水先を確認します。


住宅へ転用するときは、接道に下水が通っているか、または浄化槽の排水ができる側溝があるはず。


少ないですが、排水先がない申請もあります。太陽光発電など。
排水先が無い転用は、それなりの追求があるので対応策が必要です。


排水先が確認できたら、配置図に矢印で雨水と生活排水の排水先を入れます。


雨水・生活排水の排水先を示す

雨水の矢印

配置図上の余白から側溝に向けて、矢印を2か所ほど入れます。

その矢印の近くに「雨水」と記載。


生活排水

下水が通っているときは、浴室やトイレのあたりから接道に向かって矢印を。

その矢印に沿うように「排水」と記載します。


浄化槽を使用するときは、

浴室やトイレが配置されている近くに四角を描き、そこに「浄化槽」の文字を。

浴室・トイレから「浄化槽」を通り、側溝に向けた矢印を入れます。

その矢印に沿うように「排水」と記載。


隣地との境について

ブロック塀のイラスト(パターン)

よくある近隣トラブルは

  • 将来的に境界線がわからなくなってしまう
  • 雑草や樹木などが境を越えて茂るなどの問題がある


農地と農地の間の境界は、分かりにくい場所が多いです。

相続などで世代が変わると認識もズレてきて、紛争もよくあるそう。


このような事態を回避するために、境界について明確にしていほしいと言われます。



農業委員会からはお願いというかたちですが、

図面に見切り壁やフェンスを入れてという補正指示は多いので、

あらかじめ「計画」として描き入れておくことをお勧めします。

(あくまでも「計画」なので、実現の義務はありません。)


見切り壁やフェンスの記載方法

これは、配置図のそれぞれの境界線に沿って、「見切り壁」の文字を入れます。

住宅などは長方形の区画であることが多いので、

四辺それぞれに沿って「見切り壁」の文字が書き込まれる感じです。


建築面積と建ぺい率について

箱庭のイラスト

農地保護の観点から、

転用する面積は必要最低限でなければならない、

という農地法のきまりがあります。

必要最低限がどうかを審査する基準として、建ぺい率があります。

これは、建築物に適用される基準です。

農地転用では、建ぺい率は22%以上であることが必要です。


建ぺい率を算出する計算式

建ぺい率(%) = 建築面積(㎡) ÷ 申請地の面積(㎡)


この建ぺい率が大きいほど、土地に占める建物面積が大きいということになります。


反対に、建ぺい率が小さいということは、

土地に占める建築面積が小さい建物以外の部分(余地)が大きい

ということ。



転用案件で用意された計画図が、建ぺい率22%に満たないときも…。

その場合はカーポートや倉庫を加えるなど、建ぺい率を上げる方法があります。

設計元やメーカーに、こちらで対処していいか(図面編集の許可)確認をとります。


具体的な対処法については、2つのアプローチを紹介しています。

建ぺい率が足りないときは 工作物を追加する方法

建ぺい率を満たすために、有効面積を小さくする方法


建築面積、床面積を記載する

二階建ての家の断面図

配置図の建物を示す枠内に、「建築面積〇㎡」と記入。

また、平面図の余白にも、「建築面積〇㎡、床面積 1F〇㎡、2F〇㎡」と書き加えておきます。


建物がシンプルな形であれば、縦横の掛け算で建築面積を算出することもできますが、柱の部分が不明確だったり、形が複雑な場合は設計元にお願いします。


農業委員会は、この図面に記載された建築面積や床面積と、

申請書の計画概要欄の内容が一致しているかを確認しています。

この情報が入手できないと申請書の欄が埋まらないので、早めに確認を。


隣接する農地の進入路確認について

隣の芝生は青いのイラスト(男性)

これは、申請地の隣地に接道のない農地がある場合

該当しないケースは気にしなくてOKです。


申請地に接道があり、隣接した農地に接道が無いという場合には、

その接道のない農地にはどうやって進入しているのか、確認が必要です。


接道から申請地を通り抜けて農地に進入していたなら、

今後もその農地へ進入できるよう、通り道を残す方向で検討しなければなりません。


通り道を残す必要があるか、については所有者へ直接確認します。


まとめ:農転仕様の図面とは、自分で編集する理由

前述した、農転の審査ポイントをカバーした計画図とは、

下記の内容が記載されたもの。

  • 雨水の排水先、生活排水の排水先を図示
  • 境界に沿って、見切り壁またはフェンスを図示
  • 建築面積、各階の床面積の表示、建ぺい率22%をクリア


この農転仕様の図面にするための加工編集には、それなりの時間がかかります。

設計元にお願いするという選択もあります。

が、この面倒な依頼を快く、迅速にやってくれるところは、そうありません。


心を砕いてお願いした割に、編集図面はなかなか届かない。

締切を気にしてヤキモキすることもあるでしょう。


審査ポイントを一番わかっている自分が、農転仕様に編集するほうが早い。

設計元に負担をかけず、面倒な連絡も不要。

一番ラクで効率いいと考えるようになりました。


ただ、確認しないとわからない内容もあります。

そこは電話等で情報をもらって図面に落とし込むようにしています。


許可審査をスムーズに通過できるよう、

審査ポイントに対応した、効率的な計画図を準備しておきましょう。

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