転用のために受益地から除外するときに、支払うことになっているのが決済金です。
(土地改良法で規定されています。)
決済金とは、改良区の維持管理費として徴収されるものですが
ということについて、解説します。
なぜ、決済金の支払いが必要なのか
決済金の必要性を一言でいうと、「土地改良区の財政を維持していくため」。
改良区の組合員は、受益地に対して、賦課金というものを支払っています。
賦課金は
- 水路施設などの維持管理や、
- 改良区の事業運営のために
徴収されています。
受益を除外した土地について、賦課金を徴収することはできません。
そのため、転用によって受益地が減ると、賦課金の収入が減ります。
決済金は、賦課金の不足を補うためのお金
減った分の賦課金の補填を、残っている組合員が負担するとなれば
その額はどんどん大きくなってしまいます。
その解決策として、受益地から除外する場合は、
今後の賦課金を払わない代わりに、維持管理費として一定額を納めること
としました。これが、決済金です。
「決済金、高すぎ」な理由
転用によって受益地がどんどん減っている土地改良区は、賦課金が足りません。
賦課金が足りない土地改良区ほど、決済金は高くなります。
同じ土地改良区でも、決済金の金額は年度ごとに異なります。
年度末の会議で、来年度予算の取り決めと併せて、決済金の金額を決めていることが多い。
4月に入ると「今年の決済金はいくらですか?」と確認するのが恒例です。
決済金の金額はどのくらい?
地域やそれぞれの土地改良区の財政により、決済金額は変わってきます。
参考までに、自分の申請経験のある地域では
- 賦課金は、年払いで数千円程度
- 決済金は、1㎡当たり100円~250円程度
かかっていました。
個人住宅に転用する場合として、仮に300㎡程度の受益地だと決済金は30,000円~75,000円ほど。
支払う側にとってはかなり大きな負担といえます。
決済金などの費用を負担するのは誰?
土地改良区の受益を除外するための費用は、この3つ。
この費用は、一体だれが払うのか。
農地の所有者=譲渡人?
農地の購入・転用者=譲受人?
これについては規定がないので、当事者間の協議で決まります。
と言っても、実際は仲介役の不動産会社が調整していることも多いです。
よくある費用負担の調整方法
取引のあった不動産会社では、土地改良区の費用をこのように分担していました。
行政書士に支払う(土地改良区手続きの)報酬 = 転用者(土地購入者)
意見書発行手数料と決済金 = 農地所有者(組合員)(売主)
農地所有者(売主)にとっては、土地改良区費用の負担が大きい。
その分、農地法申請の報酬(行政書士に支払う報酬)は転用者(買主)の負担になることが圧倒的に多いです。
費用負担で大事なことは、当事者が納得できること
たまに、行政書士への手続き報酬も含め、すべて地主(所有者)負担という場合があります。
農地の売主側が「諸経費をすべて持つから、とにかく買ってほしい」と思っている場合(買い手が上位のとき)です。
売買でも、賃貸でも、土地改良区に関する費用負担には、それぞれの立場で考えが異なります。
このように考える人もいれば、
という考え方もあります。
どのような分担でも問題ありませんが、当事者間で納得した負担内容にすることが大事です。
申請代理人としての説明責任
土地改良区の手続き内容に、申請者(地主も譲受人も)は関心がありません。
土地が売買できれば、過程の手続きなんてどうでもいいから。
ですが、土地改良区に支払う費用が発生するとなると、当然
について知りたいはず。
土地改良区関係の費用が発生したときに、申請代理人として大切なのは、
「これって何のお金ですか」の質問に対する、きちんとした知識を備えておくこと。
面倒な対処や調整も多いですが、顧客との信頼関係を築く機会です。
将来的に、依頼の紹介や継続、さらなる収益へと広がっていくことを期待しましょう。
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