農地転用では、申請地に併用地があるケースがあります。併用地とは、「転用計画地に含まれる、地目が農地以外の土地」のこと。
併用地に関する基本的な内容については、
農地転用の併用地とは?併用地ありの申請書・公図・配置図の書き方や注意点でまとめています。
今回は、併用地が「土地の一部」のとき。
- 具体的な事例
- どのような対応が必要か
- 「土地全体を併用する」ときとの違い
などについて解説します。
【部分的な併用】の具体的な事例
土地を部分的に使用するとは、分筆をせずに土地の一部を使用するということ。現実的にそれが可能なのは、
- 親の農地と親の宅地の一部を借りて、子が家を建てる
- 祖父の農地と祖父の宅地の一部を借りて、孫が事業用地として使う
など、家族内での使用貸借による転用です。
土地を丸ごと借りずに、一部分のみを併用する理由は、
- すでに宅地として家族が使っている土地なので、余剰部分だけを借りる
- 申請地だけでは面積が不足するが、隣接地を全部足すと反対に面積が大きくなりすぎる
などがあります。
※上記2の補足
農地法では、個人住宅敷地への転用は500㎡以下と規定。
例えば申請地が300㎡ある場合は、併用地として使用できる部分は200㎡以下となります。
土地の一部を併用するとき、確認すべきこと
申請の準備に入る前に下記を確認しておきましょう。
- 農業委員会事務局へ、計画について問題ないこと
- 併用部分が必要な理由
- 併用部分の面積
転用敷地とその他の土地は分筆をして境界を明確にさせることが基本です。
そのため、分筆をしない併用部分があるというのは、農業委員会側からすると、後にトラブルが起きないか気になる点。
なので併用部分を使用する理由について、先に伝えて了承してもらうと申請後がスムーズです。
「併用部分を使用する」理由づけ
併用部分を使用する理由について、計画者や仲介者に聞いても
- 特にない
- 申請地よりもう少し広い方がいいかなと思った
程度だったりします。
農地法の申請では、分筆をせずに併用部分を使用する理由付けがあるほうが〇。余計な追及も受けないし心証もいいです。
併用部分を使用する理由や事情について、下記にまとめます。
- 申請地の前面道路に縁石やガードレールがあり、隣接地の併用部分から進入したい
- 申請地と前面道路に高低差があり、隣接地の併用部分からしか進入できない
- 親の介護等のために、隣の敷地に家を建てる計画で、日常的に行き来する予定である
- 親と近隣に住むために申請地に家を建てる計画だが、申請地だけでは必要面積が足りない
実際には特に理由がないというケースでも、申請前にそれらしい理由を肉付けしましょう。
併用部分の面積は、実測?机上計算?
設計元に併用部分の面積を出してくださいと言うと、この質問をよく受けます。
実際に測量して、地積測量図を添付できるようなら、実測でも勿論OK。
ですが家族の土地を一部借りるのに、わざわざ測量するのは現実的ではありません。
そのため、机上計算でもOKです。机上計算で申請する場合、算出根拠である求積表は必須。
jw_cadを使うと簡単に求積表を作成できます。
作成手順は、jw_cadを使った求積表の作り方でわかりやすく解説していますので、参考にしてみてくださいね。
【公図写の作り方】「土地の一部」が併用地のときの作成例
配置図は申請地と併用部分をあわせた敷地で作成します。
また併用する土地と面積について、公図と申請書にも記載が必要。
公図写について、隣接土地のどの部分を併用するのか、わかるようにしておく必要があります。
併用部分に色付けをし、併用面積を書き入れます。こんな感じです↓
申請書については、転用計画の記載欄に「併用地」を記載するところがあります。そこに
と記載します。
所要面積欄は、申請地+併用部分の合計面積になります。
土地全体を併用するときとの違い
今回は土地の部分的な併用について、具体的な事例や申請方法をお伝えしました。
土地全部を併用地にする場合との違いを、下記にまとめます。
- 「部分的な併用をしたい」理由を準備
- 事前に農業委員会事務局へ相談
- 併用部分の面積を求積する
- 公図写は併用部分のみ色付け。併用部分の面積を記載
- 申請書の転用計画欄に、併用地の情報を記入。
土地全部を併用するときより手間がかかりますが、必要な情報をきちんと示せば許可は難しくありません。
順番に確実に対応して、実績につなげてくださいね。
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