農地法許可が下りたらやるべきこと

農地法許可が下りたらやるべきこと 基礎編

地法の許可証を依頼人へ渡せば依頼任務は完了ですが、

施工会社や不動産会社などへ滞りなく情報をつなぐことが大切です。

仲介が入っている依頼については、仲介者(測量事務所や不動産会社)へ

転用許可が下りた旨、遅滞なく連絡をします。

また転用者から直接依頼を受けたなら、

許可後にどのような手続きが必要なのか、案内をすべきです。

そのために、農地法の許可がおりた後、実際に転用をする前後で

必要となる手続きについて、把握しておく必要があります。

主に必要となる手続きは、

  • 所有権移転登記
  • 地目変更

の2つです。

この2つの手続きについて下記のトピックで解説します。

  • 所有権移転登記が必要な場合とは
  • 地目変更が必要な場合とは
  • 地目変更をした方がいい理由とは

所有権移転登記が必要な場合とは

所有権移転登記とは、

土地や建物(不動産)について、売買などにより所有者が変わる場合に、

新たな所有者を登記する手続きです。

転用で所有権移転登記が必要な場合

農地を転用する際、その所有者が変わる場合に、所有権移転登記が必要です。

つまり、

農地法5条で、申請人が譲渡人と譲受人である申請(届出)について

許可(受理通知書)がおりた場合です。

所有権移転登記の手続きの依頼先

所有権移転登記ができるのは、司法書士です。

売買目的での農地転用は、不動産会社が仲介に入ることが多く、

そのため不動産会社が取引をしている司法書士へ依頼がいくのが一般人な流れです。

不動産会社は土地管理のプロですから、

許可後の手続きは不動産会社に一任して問題ありません。

所有権移転登記の流れ

農地の所有権移転は、転用の許可(受理通知)を受けていることが前提です。

そのため、所有権移転登記の手続きには農地法の許可証(受理通知証)が必要です。

所有権移転登記が完了するまでの流れは、このようになります。

  1. 農地法の許可を取得する/農地法届出の受理証を取得する
  2. 法務局へ登記申請・・・登記申請書、農地法許可証、その他必要書類を提出
  3. 1~2週間で登記手続が完了→新しい土地全部事項証明書の取得が可能に

※法務局へ提出後の処理期間について、「1~2週間」はあくまでも目安であり

前後する場合もあります。

売買契約を急ぐときには、

早く所有権移転登記をしたい→農地法の許可証が必要

ということで、不動産会社から

「許可証を取得したら、その足で司法書士へ届けてほしい」

と要望されることもままあります。

地目変更が必要な場合とは

農地を転用した場合には、基本的にはすべて地目変更が必要です。

農地法4条・5条の許可証にも、

「転用後は速やかに地目変更手続きをして下さい」等の指示が

記載されていたりします。

土地の現況が農地でなくなったなら、地目も農地以外にして下さい、

ということです。

地目変更手続きの依頼先

地目変更手続きの代行ができるのは、土地家屋調査士です。

土地の所有者が行うことも可能ですが、土地家屋調査士に依頼する人がほとんどです。

地目変更の手続きをするタイミング

手続きができるのは、転用後(物理的に農地でなくなってから)になります。

転用の許可が下りていても、計画が実行されず田や畑のままの状態で地目を変えることはできません。

地目変更の流れ

  1. 農地法の許可を取得する/農地法届出の受理証を取得する
  2. 実際に農地を転用する(宅地を建てる、駐車場にするなど)
  3. 法務局へ登記申請(登記申請書や転用許可証/転用受理通知書など必要書類を添付)

1~2週間で登記手続が完了→新しい土地全部事項証明書の取得が可能に

※法務局へ提出後の処理期間について、1~2週間はあくまでも目安であり

前後する場合もあります。

登記申請をする際に、転用許可証/転用受理通知書に替えて

転用事実確認証明」という書類を添付する場合があります。

この「転用事実確認証明」も、行政書士が代行で取得する書類です。

この書類についても別記事で詳しく紹介したいと思います。

地目変更は忘れがち

所有権移転登記に比べて、地目変更はないがしろにされがちです。

転用が完了した後に行うため、

そのときには利害関係のある不動産会社や、住宅メーカーなどの契約や施工は完了しています。

転用者に対して、「地目変更が必要ですよ」と指示したり手配してくれる関係者がいない、ということが大きな要因だと考えられます。

農業委員会も、転用された後に地目変更が行われたかどうか、の確認はしません

地目変更をしなかったからと言って、特に罰則もありません。

転用者にとって、

所有権移転は、所有者としての立場を明確にする=対抗要件を具備する

というメリットがありますが、

地目変更は得にメリットを感じられないため、報酬を払ってわざわざ手続きしよう、

と思わない可能性もあります。

では、地目変更はしなくても問題ないのか

いえ、あとあと問題になることがあります

どんな場合に問題になるのか、次章でお話します。

地目変更をした方がいい理由とは

地目変更の必要性を一言で言うと、

将来にわたって農地法が関与することを回避するため

に手続きをすべきです。

地目変更をしないと、地目は農地のままです。

地目が農地である限り、ずっと農地法が関わってきます

地目変更をしなかったことが仇となったケースを2つ紹介します。

ケース1転用した農地を、売ろうとしたAさんの場合

農家Aが、自分の農地に倉庫を建てるため、農地法の4条許可を取得しました。

でも事情が変わり倉庫の必要性が無くなり、駐車場として使用していました。

数年後、その土地を、買い取りたいという人が現れました。

Aは売りたいと考え、司法書士へ所有権移転登記手続きを依頼しましたが、

その土地の地目が農地なので、農地法の許可を取得してください

と言われました。

Aは農地法4条の許可を取得しましたが、地目を変えていませんでした

そのため再度、農地転用手続きが必要になったのです。

急いて地目を変えようとしましたが、

農業委員会から転用許可が下りていることの証明が受けられず、地目変更ができませんでした。

証明が受けられない理由は、

当初の計画目的であった「倉庫」が確認できないからでした。

このように、

  • 転用許可を受けた農地の地目を変更していなかった
  • 転用目的と違う内容で農地を使用してきた

という条件が重なった場合、

その土地を売買する際には、もう一度農地法の申請が必要になってしまいます。

実際、こうした事情で2回目の申請が必要となった依頼を何件か受けました。

2回目以降の農地法申請は、「計画変更申請という申請になります。

この申請をする場合には、

  1. 前回の農地法申請の内容から、今回の転用へ計画を変更することについての許可です。(計画変更申請)
  2. 今回の転用計画について、実際に転用することの許可(再5条許可)

という2つの申請が必要になります。

そのため、この手続きを行政書士に依頼すると、

通常の農地法申請の報酬の1.5倍~2倍の報酬を請求されることになります。

「計画変更申請」についての詳細は、長くなるので別記事で解説します。

上記のAさんは、地目を変更せず、再度農地法の申請が必要になったことで

  • 農地法の申請のために、またお金がかかる(しかも前回より多い)
  • 農地法許可を得るために、売買の予定が1か月ほど遅れる

など、想定外の面倒事に直面してしまいました。

倉庫が建っているうちに地目を変更しておけば、

あとあと土地を売るときに農地法が関係することは無かったのです。

ケース2転用した土地を、息子の住宅ローンの抵当にいれようとしたBさんの場合

融資を受けるために土地に抵当権を設定する場合にも、

地目変更が必要になります。

農家Bさんが、自分の土地を駐車場にするため4条申請の許可を受けました。

実際に駐車場として現在まで使用してますが、地目は畑のままです。

そこへ、Bさんの息子Cが

マイホームを建てるための住宅ローンを組むことになり、

Bさんの駐車場に抵当権を設定することになりました。

すると、銀行から

駐車場の土地の地目が畑になっているので、雑種地に変えてください

と連絡が来ました。

地目変更手続きを土地家屋調査士へ依頼すると、

農地法の許可証も必要なので、用意してください」とのこと。

ずいぶん昔に取得した許可証なので、探しても見つかりません

許可証が無いときは、代わりに転用事実確認という書類が必要です。

この書類を取得するために、まず行政書士へ依頼することになりました。

このケースでは、抵当権を設定するために

  • 行政書士に転用事実確認を依頼
  • 土地家屋調査士に地目変更手続きを依頼

という想定外の出費と時間がかかってしまったのです。

このように、当時は想像できなくても、将来地目変更が必要になることがあります。

必要になってから変更しようとしてもできなかったり

余分な費用がかかったりと、

面倒な展開になることも多いです。

農地転用の手続きを受けていると、地目変更をした方がいいですが?

と相談を受けることもあります。

その場合には、上記のようなケースもあるため、

地目変更することを進めています。

農地転用の手続きを仕事にされる人には、

地目変更を進めるまではしなくても、

地目変更をしないことによるリスクがあることを、

きちんと伝えられる担当者になって頂きたいと思っています。

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