住宅へ転用するときは、建築面積を確認して建ぺい率を確認します。
農地法4条・5条申請において、建物を建築する計画のときは、
建ぺい率が22%以上であることが許可条件となっています。
ですが、用意してもらった計画図のなかには、その22%に達していないものもあります。
そんなときにどのようにして、建ぺい率22%を達成させるのか、
対処法についてお伝えします。
小さな建築物を増やす
例えばこんな申請案件。
- 申請地が290㎡
- 建設する住宅の建築面積が62㎡
建ぺい率を計算すると、
建ぺい率(%) = 建築面積(62㎡) ÷ 申請地の面積(290㎡)×100
=21.37…
この場合21%なので、許可条件となる22%を下回ります。
そんなときは建ぺい率を満たすために、建物の割合を増やします。
と言っても、建築図面の設計は変えられないので、
カーポートや倉庫などの付属設備を追加。
追加する面積はどのくらいか、逆算する
上の例の場合、申請地290㎡の建ぺい率22%を満たすには
290㎡ × 0.22(%)=63.8㎡
63.8㎡以上、建物の面積が必要。住宅は62㎡あるので、
63.8㎡ - 62㎡ = 1.8㎡
この1.8㎡を補えるだけの設備があれば、クリアできます。
1台分のカーポートまたは簡易倉庫を、配置図に設置すれば十分。
配置図へカーポートや簡易倉庫を追加する手順
配置図には長方形を書き入れ、カーポート/簡易倉庫 〇㎡と書けばいいのですが、
平面、立面図の添付が必要。
なので、まずネットで平面や立面図をダウンロードできるカーポート/簡易倉庫の商品を探します。(有名どころだと商品画像ページに仕様書ダウンロードもついているメーカーがあります。)
手ごろな大きさの商品を見つけたら仕様書をダウンロードし、その規格の大きさを、配置図に入れます。
実際に設置しなくても大丈夫?
実際にカーポートも簡易倉庫も設置しないのに、図面に書き足していいの?と心配になりますよね。
でも、大丈夫です。
あくまでも「計画図」ですから、計画は常に変わります。
農業委員会は、許可後の転用状態の確認は基本的にしません。
農業委員が転用後の住宅を見かけたところで、各案件の配置内容など覚えていません。
過去の転用案件では、こちらに渡された計画図と、全く違う外装の家が建ったこともあります…。
建ぺい率の不足を事前に防ぐ工夫
もともと建ぺい率をクリアした設計であれば、前述の手間が省けるので、
先手を打ちます。
自分は必要書類などの案内書に、
「建物の建ぺい率は22%以上になるようお願いします」と記載。
それでも足りないようなら、上記のような対応をさせてもらってよいか確認します。
あまりにも住宅が小さくて、付け加えるカーポートや倉庫が立派で大きいと不自然。
というケースは、住宅設計の見直しも検討したほうがいいでしょう。
図面編集スキルの重要性
自分の経験を振り返っても、申請書に文字を入力する時間よりも、
図面に情報を加える編集作業をしたりする時間のほうが
圧倒的に長くかかっていました。
建ぺい率についてクリアしている場合でも、ほとんどの申請案件は、編集せずに提出できる図面はありませんでした。
なので、農地転用手続きに関わっていく人は、
このような編集力&対応力を身に着けておいて、絶対に損はありません。
最初はものすごく時間がかかり、費用対効果を考えるとこの仕事どうなんだろう...と思われるかもしれませんが、数をこなせばかかる時間もぐっと減ります。
ぜひ、経験をどんどん次につなげてください。
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