一時転用の許可を受けた場合、転用期間は最長で3年です。
転用者によっては、転用期間の3年を過ぎても「まだ転用を続けたい」
という場合もあると思います。
一時転用の期間更新(延長)は可能なのか、について自分の経験・実績を伝えます。
結論:可能性はある(実例あり)
自分の担当案件で、一時転用の更新をした実績があります。
それは第1種農地を資材置き場として転用していた案件。
3年の期間満了に伴い、2度目の一時転用を申請し許可されました。
一時転用を更新した事実はありますが、
すべての案件について可能とは言えません。
転用案件それぞれの事情や各市町村の規定、解釈は異なります。
必ず申請先の判断を確認してください。
なぜ一時転用の延長を望み、それが受け入れられたのか。
実例について、具体的な経緯を話します。
一時転用を延長したい事情
第1種農地を一時転用したのは、水道工事を行う建設会社。
資材置き場として下記の条件を満たす場所が、なかなか見つかりませんでした。
- 会社近くの場所で700㎡程度の広さが必要
- 傾斜のない更地
- 前面道路は大型車両の進入・通行ができること
- 予算内の賃料で借りられること
ようやく見つけた土地は、第1種農地。やむなく、一時転用で借りることに。
借りる側の建設会社も、貸す側の農家も、本当は長期的な貸し借りを望んでいました。
しかし転用期限は3年。ほかの資材置き場を探すも、
当時から苦労した土地探しなので、簡単には見つからず…。
本来なら、この第1種農地を永久転用したいところですが、それは無理な話。
農業委員会に相談して再度、一時転用の許可を受けるに至ったのです。
何回、延長ができるのか?
心配なのは、二度目の一時転用期間が終了する=3年後です。
期間終了後の対処を農業委員会に確認すると、
という意外な返答。
これは正直、驚きました。
一時転用を三度も更新、つまり9年も第1種農地を転用するなんて、
「一時」転用という申請形態の意味が無くなりますよ?
との指摘を覚悟していたので。
期限延長を認める明確な基準はない
前述した案件は、たまたまあっさりOKしてくれましたが、
期限延長を認める「特段の事情」について、申請先の解釈は様々。
案件によっては二度目・三度目は無いと言われる可能性も否定できません。
一時転用が何回できるのか、明確な答えはありませんが
申請者が困っていたら、延長申請を交渉する価値はありそうです。
一時転用の負担
一時転用は土地返却後の負担も大きいです。
- 農地復旧義務
- 復旧したことの報告書類の提出
公共工事の場合も、
建設業者が自分で現場小屋や資材の設置場所を用意。
現場の近くの土地を探して契約し、それが農地であれば一時転用申請も各自行います。
建設業者からは、
といった声も届きます。
こうした改正は難しいかもしれませんが、
農業委員会や農林課に現場の声を伝えるのも、代理申請者の役割だと考えています。
期間延長のために代理申請者ができること
再度の一時転用許可を交渉するときには、下記の試みが有効です。
- 期限が到来する前に、早めに転用者に知らせる
- 転用者に他の土地も探してもらう
- 土地が見つからない事情について、きちんと把握しておく
1の期限到来を早めに知らせるのは、2の土地探しをしてもらうため。
農業委員会に「土地を探しているが見つからない」
という努力をアピールをするのに、規制事実があれば説得しやすいです。
3は、農業委員会を説得するための準備。
- どんな努力をしたか
- なぜ他の土地が見つからないのか
具体的な情報を揃えましょう。
一時転用については、固定資産税や対象農地など、
通常申請との違う点をまとめた記事も書いています。
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