受益地からの除外が認められると、決済金の支払いが発生します。
決済金を支払うタイミングは、土地改良区から納付書が渡されたとき。
納付書には、下記の指示があります。
- 決済金の額
- 支払い期限
- 支払い方法(現金か振込か、の指定あり)
土地改良区の融通が利かず、この納付書をめぐって
振込や領収書の対応に、頭を悩まされるケースが多かったです。
決済金支払い時に気をつけること、よくある問題の解決策をまとめます。
銀行振込の場合に、本人確認で引っかかる
決済金の支払い方法が、振込のときは注意してください。
10万円以上の現金による振込は、銀行で本人確認が必要です。
土地改良区の納付書の宛名と、銀行でお金を振り込む人を同一
にしなければなりません。
たとえば
- 決済金が10万円以上のとき、
- 納付書の宛名が組合員(地主)で、
- お金を振り込むのが譲受人(土地の購入者)
これだと、銀行の本人確認の際に問題になってしまいます。
振込対処法(納付書の宛名を自由に指定できる場合)
一番シンプルな対処はコレ。
しかし、これができる土地改良区とできない土地改良区があります。
受益地を確認するときに、納付書の宛名についても確認しておくといいでしょう。
納付書の宛名は、組合員のみとする土地改良区もある
納付書の宛名を組合員に限っている改良区があります。
振込人の名義が組合員だと、その振込が
「どこの受益地についての決済金か」すぐわかるため。
実際の支払は譲渡人だからと交渉しても、
改良区の規定があると、納付書の宛名は変えてもらえません。
納付書の宛名を変えられないときの振込対処法
こんな前提があるとき、下記の対応をしていました。
- 決済金の支払いを譲受人(土地購入者)がする場合で
- 納付書の宛名は、組合員(地主)に限られていて
- 決済金の支払方法が振込
対処法① ※決済金が少額のとき
- 譲渡人にATMで振込をしてもらう。
- その際、入力画面の「振込人」を、「譲渡人」の名前にしてもらう。
対処法② ※決済金が多額のとき
- 組合員=地主(譲渡人)が決済金を振り込む
- 譲受人が決済金相当額を、別の手続き(※1)で負担
(※1) 別の手続きとは、
- 農地法申請の報酬や
- 不動産会社の仲介手数料等の土地購入費
など。仲介する不動産会社がうまく調整していました。
支払いは現金のみ、の土地改良区も
自分の経験上、窓口へ現金を持っていくのは誰でもよかったです。
関与した4つの土地改良区で、現金支払い時に本人確認をするところはなし。
行政書士や関連業者の支払でもOK、とする改良区も。
(※土地改良区によっては、本人確認など厳しいところもあるかもしれませんので、事前にご確認ください。)
支払者が誰でもいいのは、いろいろ都合がいいのですが
ここでもひとつ、問題が出てきます。
領収書の宛名=組合員に限定、の場合あり
前述した振込の揉め事に共通しますが、
決済金の支払いに対する領収書も、宛名を組合員(地主)のみ
とする改良区があります。(これも土地改良区によって対応が分かれます)
農地の購入者(または賃借人)が決済金を負担する場合でも、
領収書の宛名は組合員(地主)になってしまうのです。
領収書の名前は気にしないという人もいる一方、
農地を購入するのが法人だと、会計上の問題で、
領収書の名義を自社にしたい会社も。
領収書の宛名が自由に変えられないときの対処法
こんな場合についての対処法を紹介します。
- 決済金を支払うのが、農地を購入する会社(譲受人)で、
- 現金で支払う場合に、
- その領収書の宛名=組合員(譲渡人)になってしまう
自分の務めた行政書士事務所では、このように対応。
- まず、決済金を行政書士事務所が支払う(立替)
- 領収書は組合員の宛名でもらう→行政書士事務所で保管
- 行政書士事務所が、会社(農地購入者)へ決済金の請求
- 会社(農地購入者)は、請求書(決済金立替分)に対して支払う
※立替金は、農地法申請の報酬と併せて請求していました。
(行政書士事務所の)請求書
- 報酬:「農地法〇条申請 〇万円」
- 立替金:「○○土地改良区決済金 〇円/㎡ × 〇㎡ = 〇万円」
行政書士事務所の立替は、決済金を折半したいときにも〇
上記の対応は、決済金を譲渡人と譲受人で折半したいというときにも有効。
決済金7万円だったとき、このように負担するケースもあります。
- 譲受人(土地購入者) ¥35,000
- 譲渡人(地主) ¥35,000
しかし、土地改良区がそれぞれに領収書を切ってくれることはありません。
このような場合、行政書士事務所で7万円を仮払し、
それぞれに対して35,000円を請求することで解決していました。
行政書士事務所で立替する場合のデメリット・注意点
デメリットはこの2つ。
さらにこんな注意点も。
たまに、報酬を支払わない依頼人がいます。そこに立替金も重なれば、大きな痛手。
領収書の宛名のために、どこまで協力するか、
相手をよく見極めることも必要です。
納付書名義≠支払者のとき、の問題と対処法まとめ
決済金の納付書の名前と、決済金を支払う人が違うときの、問題と対処法をまとめます。
決済金の支払い方法が振込のとき
①納付書の名義を支払者にしてもらう
↓
②納付書の名義=組合員(地主)に固定されているなら
- ATM入力画面で、「振込人」の名前を操作
- 不動産会社など仲介役が、譲受人が別の費用を負担するなど調整
決済金の支払い方法が現金のとき
①領収書の名義を支払者にしてもらう
↓
②納付書の名義=組合員(地主)に固定されているなら
行政書士事務所で立替し、支払い者に宛てて立替分の請求
決済金の納付は、対応を間違えると支払いをする人に迷惑がかかります。
土地改良区の除外手続きが滞り、農地法申請に影響が出る可能性も。
代理申請者としては、除外の手続き書類を提出し、決済金の納付書を渡されると
仕事がひと段落した気になります。
しかし厄介なのは断然、決済金の支払い。
滞りなく支払いが済むよう転用者をサポートしていきましょう。
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