【無断転用の農地転用】始末書の書式や記載例、資金証明について

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無断転用 農地転用

こんなこと、ありませんか?

  • 農地法の申請依頼を受けて、現地確認したらすでに転用されてる
  • 無断転用の指摘を受け、農地法申請の依頼をしてきた


この記事では、無断転用農地について農地法申請をするときのポイントをまとめます。


※無断転用の実態や背景などについてはこちらの記事でまとめています。


必要書類:始末書について

無断転用農地について農地法申請をする場合に、この始末書という書類が必要


この書類の内容は、

  • 無断転用したことに対する反省と謝罪
  • 今後は農地法を遵守していく意思があることの表明


上記書類に下記を記載し、押印します。

  • 申請地の所在、地番、地目、面積
  • 無断転用した所有者の氏名
  • 所有者の住所


無断転用の始末書:書式と記載例

自分が作成した始末書を公開します。実際に提出したものと言い回しなど違うところもありますが、必要な情報はすべて反映させました。

この記事を書くにあたって、無断転用の始末書を公開しているホームページをいくつか確認しました。(市町村のサイトや行政書士先生のブログなど)。


※紹介された書式のなかには「いつから無断転用を始めたか年月日を書くとされた書式もあります。

もし申請先に書式や記載例があれば、そちらに従ってください。



始末書の注意点:「自署」と押印

注意点は、氏名は自書すること。

委任状などは、記名押印(パソコン入力した名前と押印)も可。でもこの始末書については、

所有者が自署したうえに押印(印は認印可)をすることになっています。


自署とするのは、

  • 法令に違反している、という事実に対する自覚
  • 今後の法令遵守についての認識

をより確実にするために、書類に重みをもたせているのだと考察します。


始末書は自署が必要であることを、本人または仲介者に必ず伝えましょう。


資力証明と資金調達の計画

無断転用農地の申請は、2つのパターンがあります。

  1. 無断転用している現状について、法的に許可を得る
  2. 無断転用している現状から、別の状態へ転用する。新しい転用計画で農地法許可を得る


先に2の場合について述べると、新しい計画については未着手。その計画に必要な資金計画と資力証明を用意します。

つまり、通常の申請と変わりありません。


1の現状について許可申請をする場合は、通常の申請と異なるところがあります。


それは、既に転用は済んでいるため、計画を実行するためのお金はもう必要ないという状態にあること。


転用済でも「資金証明」が必要

無断転用を是正するために申請するとき。もう整地して倉庫も建っている状態だとしたら?

本来は資力を証明する必要はないはず(実行済だから)。


しかし、農地法は許可を得ないと転用できないのが大前提。「既に転用済みのため資力は不要」なんて記載は想定されてません。


あくまでも通常の申請と同じく、これから実行していく設定で、資金計画それを証明する書類を添付しなければなりません。


申請のためだけに借入を起こすのは難しい。だから資力証明は残高証明書または通帳の写しにするのが一般的。


申請書様式二号の「資金調達の計画」は、用意した資金証明書類の額で収まるように設定します。


「資金証明」のためのお金がないときは?

既に実行済みの計画について、資金証明の準備なんて違和感がありますよね。形式上のもので、提出さえすれば厳しい追及はない、というのが経験上の感覚です。


実際、無断転用で倉庫が建っており、4条申請をしたときのこと。用意された通帳の写しは、残高が20万円。やむを得ず

  • 整地費用 10万円
  • 倉庫建築費用 10万円

という資金計画で申請しましたが、問題にならず許可を受けられました。


※市町村によっては、厳しい追及があるかもしれないので、金額に不安があれば相談を。

ただ申請の目的が「無断転用の是正」である以上、不必要な資金の額について追及することは、農業委員会としても得策ではないはず。

用意できる範囲内で対応してもらえるよう、働きかけることが申請人のためです。



農業委員会の現地確認で、注意すること

無断転用是正の申請も、通常申請と同じように農業委員会の現地確認あり。

担当の農業委員も当然、既に転用済であることをわかっての現況確認


ですが、現地確認にあたり、事前にこんな連絡がくることがあります。

農業委員会
農業委員会
  • 申請地(無断転用地)に停めている車を、現地確認の日だけ別の場所に移動しておいて
  • 用途がない不要品が多いので、できるものは処分をしてほしい

など。


こうした通知には、こんな意図が。

  1. 申請計画と実態が一致していないと、転用許可が難しい
  2. 無断転用について、現況から反省の意が感じられないと、始末書との整合性がない

順に詳しく解説していきます。


現地確認の注意点①計画と現況の整合性:「なんでも置き場」は×

例えば、申請計画が「駐車場」なのに、大部分に資材や不要品(ゴミ)が置いてある。

反対に「資材置き場」で申請しているのに車や農機具がほとんど、など「なんでも置き場」では困ります。


申請の計画と、現況がずれているときはその整合性を求められます。

計画と関係ないモノが多い場合は、別の場所に移動したり不要品は処分しましょう。


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現地確認の注意点②始末書と現況の整合性:「反省の意が感じられるか」

無断転用の是正としての申請とはいっても、あまりにも堂々と大々的に転用している状態はNGです。

「反省の意は始末書の文面だけのパフォーマンスか」と農業委員会の心象が悪くなります。


無許可で転用し、原状回復を免れようとしているので、どうしても申請者のほうが立場は弱くなります。

「こうやって申請してるんだからいいじゃん」と言いたくなる気持ちもわかりますが、要請があれば協力しておくのが身のためです。


前章の内容と共通しますが、罪悪感なく何でもかんでも、四方八方に散らかした状態はやめましょう。

申請の計画に沿わないものは取り除き、なるべく整理して配置する。

(ほかにスペースが無く、無断転用地を「やむなく」利用したという事情が伝わるように。)


代理申請者としてできること

代理申請者は、依頼人(申請者)の利益を優先的に考える必要があります。依頼・報酬を受けているお客さんだから。


法律違反行為ですが、行政の心証をなるべく損ねないように取り次ぐことを自分は心掛けていました。


農業委員会で指摘を受けた際は

  • 申請人に認識が足りなかったことが原因で、故意ではないこと
  • 申し訳なく思っていること

を必ず伝えていました。(たとえ現実がそうでなかったとしても...)


「無断転用とは」の記事の最後のほうでも書きましたが

  • 法令遵守を指導する行政側と
  • それができなかった違反者の事情

両方の考え方を知ったうえで、折り合うところを見つけていく。その調整役こそが、代理申請者に求められていることだと思います。



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