申請地の隣接農地に接道がない、というケースがたまにあります。
農地法は農地保護の規定。隣接農地への進入路確保が求められます。
接道から「申請地を通り抜けて農地に進入していた」という事実があるなら、
今後もその農地へ進入できるよう、通り道を残すことを検討しなければなりません。
今回は、
- 隣接する農地の接道状況を確認する手順
- 接道の確保が必要となったとき、どのような手続きが必要になるのか
についてお伝えします。
申請地は隣接農地の進入路?接道状況の調査
申請地に隣接した土地のなかに、接道の無い農地があるとき。その農地所有者に「どのように進入しているか?」を確認します。
※隣接する農地所有者の 氏名と住所 は、土地の要約書から入手。
※実際にコンタクトをとる際は、注意が必要です。
突然、見知らぬ人が「進入路をどうするか」と聞いてきたら?農地転用の代理申請者と名乗っても、不信感をもたれる可能性がある。
まずは農地所有者と面識がある人が、進入方法について話し合いに行くのがスムーズ。
申請地の所有者が筆頭。不動産会社が顔見知りであれば、仲介に入ってもらうのもいいでしょう。
農地所有者が
と言ってくれれば問題ありません。計画を変えずに転用可能。
しかし、
と言われたら、農地への進入路部分を計画面積から除く必要が…。
「その農地が現在、耕作しているかどうか」に関わらずです。
申請地内に進入路を残すとき
接道の無い隣接農地のために、申請地内に通り道を残すことになった場合。
進入路部分については分筆して、転用敷地と分けるのが一般的です。
分筆せずに進入可能にすると、農地所有者は敷地内を自由に歩き回ることができてしまう。
分筆費用がかかっても
- 自分の敷地と
- 隣接農地への進入路
を分けたいと思うのが普通の感覚。個人住宅への転用なら、なおさらです。
進入路を「事実上」確保して分筆しない、ということもまれにあります。(隣接農地の所有者が身内や親せきである場合など。)
が、自分の経験した案件の多くは、進入路を設けるときには分筆し、転用敷地との境界を明確にしています。
分筆をすることが決まったら、測量事務所へ分筆の手続きを依頼します。
進入路の分筆:どのように、どのくらい確保すべき?
進入路は、農作業用の機械や車両も通行できる程度に残すことが原則。
申請地の端部から2~3m幅で、真っ直ぐ一本線を入れる分筆が多いです。
進入路の位置について
- 西側にするか東側にするか
- 進入路幅をどうするか
など、農地所有者と転用者の話し合いで具体的に決めます。
測量業者が測量や境界立会を行うため、両者の間に入り、話を取りまとめることも多いようです。
分筆手続きにかかる時間
分筆にかかる作業・手続きの流れは、こんな感じ。
- 事前調査
- 測量
- 立会
- 図面・申請書作成
- 分筆登記申請
- 登記完了
処理期間は依頼先の測量業者のスケジュールや、立会人の予定などによって変わってきます。
(自分が依頼していた測量業者では、おおよそ20日程度。)
分筆手続きを依頼する際に、どのくらいの期間がかかりそうか?を確認しておきましょう。
回答によっては、農地法申請も1か月遅らせるなどのスケジュール調整が必要。
申請書類に、隣接農地の進入状況を書き込む
申請地に隣接する農地に、接道がないとき。農地法の添付書類に、「その農地の進入状況」について記載が必要です。
申請地に進入路を残すなら。
進入路用の筆を除いた配置図を提出すればOK。
(分筆をしないなら、机上の分割線を配置図に入れます。)
申請地以外に進入方法があり、申請地に進入路を確保しないときは?
その旨を公図写しに記載。また、接道が無い状況でどのように農地に進入するのか、その道筋も記載します。
例えば下図のようなケース。
隣接農地の所有者Aさんの自宅がすぐ横にあり、住宅敷地内を通って農地に進入できるとき。
図のように進入路を赤い矢印で示します。
その矢印の近くに、確認した記録も添えます。
jw_cadを使うと早く簡単に編集できます。(手書きでも大丈夫です。)
まとめ
以上にみてきたように、隣接農地に接道が無いときは、
- 申請地内に進入路を残す必要があるかを確認
- 必要があるときは分筆の手続きが必要
また、申請地内に進入路を残す必要が無い場合、
- 接道の無い隣接農地の進入方法
- 確認した記録(日付や確認内容)
について公図写へ記載する
いずれにしても、隣接農地の所有者にコンタクトを取るなど、早めの対応が求められます。
分筆が必要になればスケジュールが大きく変わり、より迅速な対処が必要。
すぐに対策できるよう、申請地の周囲の状況についてしっかり把握しておくことが大事です。
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