三方農地は、三方向を農地に囲まれた農地のことをいいます。この三方農地は、転用が難しいと言われます。
この記事では
- 三方農地だとなぜ転用が難しくなるのか
- 転用できる可能性はないのか
についてまとめます。
なぜ、三方農地は転用が難しいのか?
三方農地の転用は、「農地の蚕食状態にあたる」と言われています。蚕食状態とは、蚕が葉を食べるときのように、不規則に侵食された様子のこと。
集団農地がぽつりぽつりと、まるで虫食い穴のように転用される様子を示しています。
集団農地の真ん中を転用すると、営農状況のよい周囲の農地に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、集団農地を転用するなら影響の少ない端部から順にとの考えで、三方農地は原則避けることとなっています。
たとえ三方向の隣接農地が営農をしていない(休耕地など)状態であっても地目が農地である限り、この三方農地の原則が適用されることになります。
三方農地は絶対に転用できるないの?(可能性はある)
三方農地だからと言って、絶対に転用できないわけではありません。
住居地域などの宅地化が進んだ地域では、三方農地であっても転用許可の見込みがあります。
実際に許可を受けられるかどうかの決定は、周囲の状況を見ながらの個別判断となりますので、農業委員会へ確認してください。
三方農地かどうかは、現地確認をしなくても公図と隣地の要約書があれば把握できます。
申請地の基礎情報を収集する際に、三方農地だなと気づいたら早めに農業委員会へ事前相談にいきましょう。
「三方農地でない」状態にする方法とは
2筆以上まとめて転用することで、三方農地でなくすという方法もあります。
例えば下図のような場合。申請地1筆のみでは、三方が農地です。
しかし隣接農地と合わせて2筆を転用することで、三方農地の状態を回避できます。
2筆合わせて計画するには、
- 計画内容に対して、2筆分の面積が適当であること
- 追加したい筆の所有者の同意を得ること
など、クリアしなければならない条件がありますが、実例もあります。
住宅敷地として転用を考えた農地が、三方農地で許可見込みがない。その事情を知った不動産会社は、周囲の農地と合わせて分譲地として転用しました。
これは、当初申請を計画していた農地だけでなく、その周囲の農地についても売買契約が成立したために可能となった一例です。
いつかは三方農地でなくなるかも
前章で紹介した、三方農地でなくす条件をクリアできずに転用を諦めた、というケースもあると思います。
買主や借主であれば他の土地を探すこともできますが、売主や貸主側は、手放したい農地を転用できないと知り、落胆されることもあります。
そんなとき、「三方農地は永遠に三方農地ではないかも」ということを伝えています。
集団農地の転用は、端部からです。でも、小集団農地であれば、端から順番に転用していったら
現時点では三方農地であっても、いつか隣地が宅地や雑種地に変わる可能性があります。
宅地化が進んでいる2種農地だったら、その可能性について伝えてもいいんじゃなかなと思います。
青農地の大規模な農地のど真ん中では、気休めの言葉になってしまいますが。
実際に、農地が続いていたところがいつの間にか大規模な分譲区画に変わっているなんてことも身近にあったりしませんか。
ただ三方農地なので転用不可ですと伝えるだけでは、事務的なやりとりで終わってしまう。
どうすれば転用できるか、というところまで考えて、伝えることで「この人に相談してよかった」と思ってもらえるかもしれない。
農地転用の仕事に限らずですが、そういう姿勢は大事だと思っています。
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