この記事では、農地法3条の書き方について、自分がどのように作成していたかを伝えます。
(申請前に)申請地と、申請人の権利関係を抑えよう
申請書を作成する前に、下記を確認・整理しておきましょう。
申請地 = 許可を取得したい農地
申請人 = 農地の所有者と、転用後に農地を利用する人
さらに権利移転・設定の内容によって、申請人の名称は分かれます。
①売買の場合 = 譲受人(農地を買う人)と譲渡人(農地を売る人)
②賃貸借の場合 = 賃借人(農地を賃料を払って借りる人)と賃貸人(農地を有償で貸す人)
③使用貸借の場合 = 使用借人(農地を無償で借りる人)と使用貸人(農地を無償で貸す人)
例えば農家Cの畑を、農家Dが賃料を払って借りるのは、上記②のケース。
二人とも申請人で、
- 農家Cは賃貸人
- 農家Dは賃借人です。
農地法3条 申請書の書き方
自分がどのように記載していたのかをお伝えします。
※市町村によって、書き方は違います。
この解説が、いつ・どの申請先でも「正解」というわけではありません。
そのことをご理解いただいたうえで、あくまでも参考程度にご覧ください。
①日付
市によって、提出日なのか締切日なのか異なります。
気にしないところもありますが、初めて提出するときは確認しておくと安心です。
②申請人
それぞれの氏名を記載します。
- 売買や贈与は、「譲受人」「譲渡人」
- 賃貸借であれば「賃貸人」「賃借人」
- 使用貸借であれば「使用貸人」「使用借人」
③権利の種類
下記のどちらかを選択し〇をつけます。
- 所有権の移転
- 賃借権・使用貸借権の設定
④申請者の氏名等(職業欄に注意)
氏名、住所は本人確認書類の通りに書きましょう。所有権移転登記をするのなら、特に注意。
職業は、譲受人・賃借人は「農業」。
譲渡人・賃貸人は、耕作していない可能性ありです。
職業「農業」と書いて、
実態を知る農業委員会から「耕作してないですよ」と指摘を受けたりします。
兼業であれば「会社員」、高齢の方であれば「無職」と記載していました。
⑤許可を受けようとする土地の所在等
土地の所在(字まで記載)、地番を登記事項証明書の通りに入力。
登記簿の地目を「地目 登記簿」欄へ書きます。
自分の申請エリアでは、現況地目は「田」または「畑」、
どちらか近い状態を記載するというのが、農業委員会の指示です。
面積、所有者の欄も、登記事項証明書の内容をそのまま記載。
対価・賃料や使用収益権などは、所有者へ確認します。
⑥権利を設定し、又は移転しようとする事由
- 譲渡人については、耕作が困難である事情を記載
- 譲受人については、営農範囲や生産を拡大する意欲がある旨を記載
⑦権利を設定し、又は移転しようとする契約の内容
申請先によって、売買契約書や賃貸借契約書の写しが必要。
その内容に合わせて入力します。
契約書を添付しない申請は、おおよその予定日を記載しています。
(整合性の追求がないので)
その場合、下記は同一日で問題ありません。
- 「権利移転(設定)日」と「土地の引渡の時期」
- 「権利移転(設定)期間」の始期
ただし、この申請について確実に許可がおりている日にしてくださいね。
「権利移転(設定)期間」の終期の記載
- 売買なら永久
- 賃貸借・使用貸借なら契約期間
⑧権利を取得しようとする者が有する農地の利用状況
農地を買う人(譲受人)、借りる人(賃借人)の状況を書きます。
自作地と貸付地に分けて記載しますが、
農業委員会の保有する「農家台帳」との整合性が審査されます。
そのため、「耕作面積証明書」を取得し、その内容を反映させます。
この耕作面積証明書は、申請書に添付させる農業委員会も多いです。
耕作管理証明書の内容や取得方法は、こちら↓
【耕作管理証明書とは】何に使う?取得方法や費用、3条申請のとき注意すること
⑨機械の所有の状況、農作業従事者の状況
ここも譲受人、賃借人の情報です。
「作付予定作物」は「田」なら米、「畑」なら野菜等を記載。
「権利取得後の面積」は、
申請する農地(申請地)+すでに耕作している農地の合計面積
になります。
「大農機具又は家畜」は、保有しているものがあれば、その数を入力。
「農作業に従事する者」の記載内容。
「世帯員等その他常時雇用している労働力(人)」には、
を書きます。
例えば、夫婦で営農しているなら、「妻(約〇年間従事)」。
譲受人/賃借人の家から申請地まで、通うときの時間と距離も記載。
地図でどのくらいかかりそうか見積りましょう。
農業に従事する家族については、次の項目でより詳細に記載します。
⑩権利を取得しようとする者又はその世帯員等の...農作業への従事状況
譲受人/賃借人と、農作業を手伝う家族について、下記を入力。
- 氏名
- 年齢、
- 性別
- 職業
「権利取得者との関係」は、譲受人/賃借人から見た続柄。
余談:個人情報を聞き取るときの工夫
これら個人的な内容を、一つ一つ聞き取るのは難しいです。
自分が情報を入手するとき、この質問にしぼっていました。
例えば「妻が週末だけ手伝うよ」の一言が聞き出せれば、
住民票(世帯全員)を代理取得させてもらい、「妻」の氏名や年齢を確認。
「従事日数」は、「週末だけ農作業をする」などざっくりした情報を入手。
月に8日前後×12か月で100日前後だな、と割り出して記入します。
⑪権利を取得しようとする者…の権利取得後における経営面積の状況
指示された計算式の通り、
耕作面積証明書の農地合計 + 申請地の面積 を記載。
⑫周辺地域との関係
「有」があると許可されないので、ここはすべて「無」に〇をつけます。
ここまで項目を埋めれば入力は終了です。お疲れさまでした!
3条は、個人的な情報を書く項目が多いこと…。
どれだけ情報を聞き出すことができるか、が難しいポイントだと思います。
本人に聞く場合でも質問攻めにならないよう、
最低限の質問から情報を割り出すように努めていました。
- 住民票や耕作面積証明書を取得して拾えることは聞かない
- 機械の保有状況は耕作面積から想定する
など譲受人/賃借人の状況を、頭をめぐらせて想像すると、
だんだん申請書の空欄が埋まってきます。
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