転用事実確認と進捗状況報告は、「2つセットで提出」が一般的。
- 転用事実確認は任意
- 進捗状況報告は必須。
しかし、どちらの提出も少ないのが現状です。
転確や進捗状況報告 の現状と、
提出しないことで生じるリスクについて解説します。
※転用事実確認は略して転確と呼ばれることが多いです。
記事内でも略称を使用しています。
転確・進捗状況報告 の特徴は下記のとおり。
- 転用事実確認は、地目変更が必要な際に提出
- 進捗状況報告は、転用後の状況を農業委員会に報告する書類
詳しくは【転用事実確認証明願・進捗状況報告とは】記載例、行政書士に頼むときの費用
提出率が低いのはなぜ?
転確や進捗状況報告の作成・提出の依頼は、ほとんどありません。
その理由に下記が挙げられます。
依頼があるのは地目変更という目的がある場合のみ。
地目変更ができるという点で、転確の提出はメリットがあるともいえます。
地目変更をしておくと将来的に土地を自由に使えるので得なのですが、
あまり認知されていない事実。
詳細は後述します。
未提出について、農業委員会の反応は?
未提出に対して、個別に連絡して提出を促すことはしていません。
でも農業委員会としては、当然、提出してもらいたい。
だから、農地法の許可証や受理通知書に、転確や進捗状況報告書の案内を添付しています。
案内文書には、
- 進捗状況報告書の提出が必要であること
- 転用事実確認も含めた書式
- 記載例
まで添えてあったりします。
それでも未提出が多いのは、先に述べた理由によるところ。
そんな現状ですが、今後も続くかは不明。
農地法の許可審査は年々厳しくなっている傾向です。
いつか進捗状況報告も、厳しく追及される時代がくるかも…。
余談:農業委員会から頼まれることも
行政書士事務所では、農業委員会や農林課から提出を頼まれて、
転確や進捗状況報告書を提出することもあります。
農業委員会や農林課が提出を頼んでくる理由は、農政局の監査。
「申請地について転用後の進捗状況を確認しているか」も監査の対象。
監査員の目に留まる案件は、進捗状況報告を「提出済み」にしておきたいのです。
「提出済み」 にしたいのは、事業に特徴があったり、転用面積が大きい案件。
自分の勤務先事務所では、この監査対策に協力していました。
貸しをつくっておくと、申請案件について交渉しやすくなるから。
持ちつ持たれつ、ですね。
(お願いベースの提出なので、顧客:転用者から報酬はとりません。)
地目変更のために「提出する」ケース
転用した農地の地目を変更するには、転用事実確認が必要。
農業委員会へ転確を提出し、返却された控えを法務局に提出します。
法務局に提出するのは 転確 だけですが、
農業委員会に転確を出すと、進捗状況報告書も求められるので、
結局、両方とも用意することに。
所有権移転に比べると、地目変更の登記はやらない人が多いです。
しかし、
地目変更しないと、いつまでたっても農地法がつきまとうから。
これかなり厄介です。
【将来のリスク】地目変更はすべき
農地のまま地目変更しないと、どんな問題があるのか?
たとえば「転用目的:宅地」で農地法許可を取得した場合。
① 地目:農地のまま、住居として使用。
② 十数年後に、建物を解体。
③ 他人にその土地を売ろうとするも、地目は農地。
④ また農地法の手続きが必要(計画変更申請)。
このように、再び農地転用の手続きをしないと、
(所有権移転ができないので)土地の売買ができない状態になります。
地目が農地のままでは、自由な用途で使用・処分ができないことを知らない方が多いです。
将来的な可能性を考えましょう。
転確の提出と地目変更は、やっておいて損はないはず。
転確の作成方法や費用についてはこちらで解説しています。
【転用事実確認証明願・進捗状況報告とは】記載例、行政書士に頼むときの費用
計画変更申請が必要になってしまったら?参考にしてみてください。
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