委任状は、A4用紙1枚が基本。そこに委任内容すべてが記載されます。
例えば転用目的が大型店舗や宅地分譲のとき。下記の点が煩雑になります。
- 申請地(筆)が複数ある
- 所有者(譲渡人)が複数人
申請地が20筆、所有者も10人…。このときの委任状は、A4用紙1枚に収まりません。
さらに委任状には、申請人全員(譲受人/譲渡人、賃貸人/賃貸人など)の押印が必要。押印回収の効率も考えなくてはなりません。
そのような場合に、自分が実践していた対処法を3つ紹介します。
方法1:委任状の記載事項を「別紙」にまとめる
下記のようなケースは、記載事項が多いので別紙を作成します。
- 「申請地」が多い
- 「申請人」が多い
- またその両方の場合
別紙はそれぞれ下記のように作成、添付。
委任状+別紙をホチキス止めして、つなぎ部分に申請人全員の割印をします。割印は、委任状と別紙が一体であることを証明するため。
方法1のメリット・デメリット
委任状の記載事項を「別紙」にするメリットは
※次章で紹介する方法2と比較すると、このメリットがより分かって頂けるかと。
この方法には、デメリットも2つ。
この方法が適しているのは、こんなケース。
申請地が多く、
申請人が少ない場合
申請人が多いときは、次に紹介する「方法2」がおすすめ。
方法2:委任状を「申請人」ごとに作成(複数枚に分ける)
例えば、申請人が下記5人なら。
- 譲受人A:土地を買う
- 譲渡人B:土地を売る
- 譲渡人C:〃
- 譲渡人D:〃
- 譲渡人E:〃
一人ずつ、5人分の委任状を作成します。そのとき、申請地の記載はどうする?
それぞれの申請人に関係する土地のみを記載します。上記の例で具体的に考えてみると…
譲受人Aは、すべての土地を譲り受ける。つまり、譲受人Aの「申請地」は、譲渡人(B~C)全員の土地です。
譲渡人(B~C)は「自分が譲り渡す土地について申請」する。よって、譲渡人の「申請地」は自己の土地のみ記載します。
※申請地の記載については、もう1つ方法があります。
全員の委任状にすべての申請地を記載し、自己の土地に〇をつけるという表記もあり。
方法2のメリット・デメリット
委任状を「申請人」ごとに分けて作成するメリットはこちら。
一方で、こんなデメリットも。
申請人ごとに記載する申請地が違うので、正しく反映させるために神経を使う。
また複数の委任状を見ないと全体が把握できず、管理者には負担。
この方法2を活用するのは、こんなケースです。
- 申請地が少なく、申請人が多いとき
- 遠方にいる申請人へ、委任状を郵送するとき
委任状を郵送でやり取りするときは、どうしても時間がかかる。押印をもらう申請者が他にもいるときは、この方法が特に有効です。
※申請地が多いときは、方法1がおすすめです。
方法3:委任状を「A3用紙、横」の大きさに
「A4用紙に収めるにはちょっと厳しいけど…別紙をつけるほどか悩む。」
このくらいの文字量のときに、お勧めの方法です。
委任状の用紙サイズをA3横に設定。
- 左半分に申請地
- 右半分に申請人
を記載するときれいに収まります。
注意点は、委任状のサイズをA3にしても良いか、農業委員会事務局へ確認しておくこと。
用紙サイズをA4に指定する申請先もあるかもしれません。
自分の経験上、A3の委任状がダメだった事はありませんが、念のため事前に確認しておくと安心です。
方法3のメリット・デメリット
委任状の用紙サイズをA3横にするメリットは、
「氏名の横の印」と「捨て印」は仲介業者も慣れていますが、割り印は忘れがち。
付箋や鉛筆でマークしても、押印されていないことがあります。
押印回収を他人に頼むとき、このメリットは大きいです。
デメリットは方法1と同じく、
下記のように、押印回収が一度で済みそうなときに活用しましょう。
- 申請人が少ないとき
- 共有者が多いとき(同居家族で所有しているとき)
- 所有者が近隣に住んでいるとき
対処法3つの選定ポイント
対処法の選定ポイントは、
押印回収の負担が少ない方法を選ぶこと。
押印回収の負担は、農地法申請の効率に直結します。
また仲介業者に押印回収を依頼するときこそ、負担軽減に気を遣うべき。
仲介業者も、自分たちが仕事しやすい行政書士をパートナーにしたい。
委任状だけでなく、押印書類全般にいえることですが、小さな気遣いや心掛けが、次の依頼や継続的な取引につながります。
ぜひ、そんなことを意識しながら作成してみてください。
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