「業務が忙しくても、収入が不安定で補助者を雇う余裕がない」という先生へ。
仕事量や業務内容によって、毎月の収入も変動が大きいのではないでしょうか。
忙しいときは徹夜で乗り切る先生も多いですが、
- プライベートの時間や健康も確保したい
- 手一杯のときに、いい仕事が来て断るのがツラい
といった悩みもあるかと思います。
そこで申請業務の外注化を提案します。
仕事が無くて困っている行政書士に、手が回らない案件を手伝ってもらうのです。
行政書士の外注とは
外注の内容は、事前調査・相談、申請書類の収集・作成です。申請をする前までの準備が主です。
申請書の提出は自分でやります(=自分の実績になります)。
自分の勤務先だった法務事務所では、補助者も事務員もいましたが人手が足りず、この外注システムも導入していました。
その実態をみて感じた、メリットデメリットについて詳しくお伝えします。
【外注するメリット】安価・低リスクで労働力を確保
最大のメリットは、この2つです。
- 必要最低限の経費で労働力を確保できる
- 案件ごとの契約なので、後腐れがない
このほか、
- 「食えない」行政書士の支援ができる
- 若い/新人の行政書士の成長や、書士会全体の発展に貢献できる
などが考えられます。
職員を雇用した場合のリスク
事務所内に職員を雇うと、仕事が暇なときにも月給が発生します。
また厚生年金、住民税、雇用保険...と諸経費が多くかかります。
さらに一度雇ってしまうと、「能力が足りない」「ウマが合わない」などの理由で
簡単に解雇はできません。
前述したメリットの話に繋がるのですが、外注だと具体的に下記の負担軽減になります。
- 頼んだ仕事に関する報酬のみで済む
- 雇用の場合にかかる税金や社会保険の支払いが不要
- 合わないと思ったらその案件限りで関わりを断つことができる
長期的に雇用をするのは無理だけど、今とにかく人手がほしい!という方には、外注はまさにニーズにあった解決策であるといえます。
【外注のデメリット①】連絡のタイムラグ
顧客からの進捗状況の問い合わせ、行政から補正の連絡などがあったとき、内容について
外注相手に確認しないと対応できないこともあります。
勤務先だった事務所での経験ですが、顧客や行政が回答を急いでいるのに外注相手と連絡がつかないときはもどかしい思いをします。
すぐに返答ができないことに対し、顧客や行政が不信感を抱くことがないよう注意が必要です。
【外注のデメリット②】ノウハウが流出し、発注相手は将来のライバルに
仕事を外注すると、受注する側にその仕事に対するノウハウを伝授することになります。
経験と苦労を重ねて得られた情報やノウハウもあります。外注する案件は厳選することが重要です。
外注案件によっては、受注した先生に下記のような機会があります。
- 測量事務所と連携しながら仕事を進める
- 顧客と連絡をとりながら進める
外注がきっかけでコネクションができ、その縁で依頼を受けるようになることもあります。
仕事が無く外注を受けていた先生が、いつの間にか将来、仕事を取り合う可能性だってあるのです。
【外注のデメリット③】事務所が成長しない
雇用をしないと、事務所としての成長が期待できないというデメリットがあります。
外注は手一杯の現状を何とかする=今を乗り切るだけ になってしまいがちです。
業務のなかには、外注をするほどでもない雑務も多いです。自分がやらなくてもいい仕事を事務員に任せることで常に重要な業務にフォーカスでき、仕事量を増やすこともできます。
内部を支える人員を育てないと、長期的な意味で自分の(事務所の)効率化を図ることはできないでしょう。
将来的な展望があるなら 外注より雇用
補助者を置き一任できる担当分野があれば、会合やセミナーで事務所を不在にするときも、
代わりに顧客対応や書類作成をやっておいてくれます。
また、自分は新しい分野の業務に参入する、といった挑戦もしやすくなります。
長期的なスパンで、あるいは飛躍的に生産性を上げる体制を築きたいなら外注では難しい。
内部に適任者を配置する(=雇用)ほうがいいです。
今までずっと一人でやってきて、いきなり人を雇うのは抵抗があるという先生もいるでしょう。
まずは外注システムを取り入れ、仕事の振り方や複数で業務に取り組むシステムの構築を学ぶのもいいと思います。
自分は縁あって補助者として行政書士事務所に勤務させて頂きました。
そのおかげで得られた経験や成長はとても大きなものです。
その体験をもとに、こんな記事も書いています。
外注か補助者か、またその両方でもいい。
仕事がうまく回るスタイルは事務所によって違うはずで、それぞれに合ったかたちを見つけてもらえたらと思います。
何より重要なことは仕事に忙殺されずに、健康管理や家族との時間を大事にするための余裕を持つこと。
徹夜や休日返上で働きつつ、この記事を読んでくださった方が、健やかで充実した日々を過ごせますように。
コメント