他士業の先生とは、業務の範囲や内容が競合しないので助け合えます。
むしろ連携しないと完結しない仕事もあります。
- 決まった連携先があると、仕事の回し合いでお互いにメリットがある
- どうやって、提携先を探したり関係づくりをすればいいの?
上記について、具体的に解説します。
他士業との交流は、営業になる
他士業の先生と繋がっておくと、管轄外の仕事を受けたときに回してくれます。
例えば、農地を売買したい人がいたとします。
とそれぞれ、自分で振り分けて依頼できる人なんていません!
測量士に頼むと決めたら、他士業への依頼まで、すべてを一任します。
そんなとき測量士と付き合いのある行政書士は、測量士から農地転用の依頼を受けることができるのです。
このような紹介によって依頼を受けるケースは多いので、営業方法としてはかなり効果的。
日頃から連携先を持っておくといいです。
連携が必然的な業務はたくさんある
他士業の先生と連携が必要な業務は、たくさんありました。例えば
- 相続
- 会社設立
- 農地転用
相続なら、相続税の相談があったときに税理士の力が必要です。また、不動産を相続するための登記手続きは司法書士の業務。
会社設立も。定款を作成して認証するところまでは行政書士ができますが、その後の設立登記は司法書士でなければなりません。
農地転用も、現況を図るときに測量士が必要。転用前に分筆が必要なら、土地家屋調査士に手続きを頼むことに。
転用後の地目変更は土地家屋調査士、所有権移転登記は司法書士の業務です。
連携が必要となったとき、日頃から提携する他士業の先生がいると
などのメリットがあります。
連携先は複数あるといい
懇意にしている他士業の先生がいると、他の人に仕事を回すのは悪いと考えるかもしれません。
しかし、下記の理由で連携先は複数あったほうが〇。
- 忙しいと断られるときがある
- 専門分野でないと断られる
- 距離的に管轄外だと断られる可能性がある
- 仕事内容や顧客との相性を考えて、依頼先を選べる
- 連携先が多いとその分、紹介してもらえる案件の範囲と数が大きくなる
手広くやっている先生は、忙しい。連携先の測量事務所は、常に大量に仕事を持っていました。
こちらが分筆や測量の仕事を回しても、「スケジュール的に無理」と何度か断られました。
そんなとき、引き受けてくれる別の測量事務所があるのはありがたいことです。
その恩や縁が、また次に仕事を共にする機会を運んでくれます。
連携先の探し方
どうやって、他士業の先生と繋がるか?
勤務先の所長=行政書士が、他士業の先生と知り合いになる機会はこんなとき。
- 新規開業時に、挨拶回りに来る先生がいる
- セミナーで知り合いになる(異業種交流会など)
- ホームページを見て訪問してくる先生がいる
このようなささいなきっかけでも、仕事の受発注が大きく変わることが…。
詳しく解説します。
きっかけ①新規開業時の挨拶回り
測量士や司法書士だって、開業してすぐには依頼を獲得できません。
営業として、地域内の他士業事務所に挨拶回りをする人も。その結果、他士業の先生から仕事を紹介してもらえたりします。
挨拶周りは広いエリアでやるべき。
自分の勤務していた事務所は、50km圏内までは迷わず仕事を受けます。農地転用の申請地が30km先とか普通です。
30km先の農地の分筆を、土地家屋調査士に頼むことになったら?
まずはその農地に近い事務所に頼みます。40km離れた土地家屋調査士事務所には断られる可能性高いし、費用対効果を考えると頼みにくい。
所長と「B市の近くに土地家屋調査士いないかな…」と話していたとき。まさにB市から開業の挨拶に来てくれた土地家屋調査士が!
翌週には、測量や分筆の依頼をその先生に依頼。
自分が勤務した事務所とその土地家屋調査士事務所は、今でも仕事を回し合う関係です。
このように仕事を依頼してくれる他士業の先生は、近隣市内とは限らないのです。
きっかけ②セミナー
行政などが講習会やセミナーを開くことがあります。
そこに他士業の先生が参加され、飲み会などの交流によって知り合いになることもあります。
自分が所長と一緒にセミナーに参加したときのこと。開業したばかりの若い司法書士先生が名刺交換に来てくれました。
謙虚な感じで営業は苦手と言いつつ、将来的なビジョンや興味のあることなどを語る姿は生き生きとしていて、でも浮ついたところは無い。所長は彼が気に入り、
本当に登記手続きはすべて回すように。
超優秀で性格もいい、素晴らしい司法書士と連携を築くことができたのです。
人との出会いは行動しないと得られないものだな、と強く感じた出来事でした。
きっかけ③ホームページを見て訪問
「他士業の先生と連携したい」と考えた先生がホームページで探すこともあります。
HP内容を見て、魅力を感じた事務所に訪問するというやり方。
自分が勤めた法務事務所では、ホームページに力をいれていたため、そのような申し出を受けたことが数回、ありました。
ホームページを準備していたときには、顧客に読んでもらうことだけを考えていましたが、このような間接的な営業効果も実感。
ホームページの可能性や営業力を改めて認識しました。
連携を継続していけるか?見極めも大事
出会った他士業の先生と連携を続けていけるか?見極めることも大事。
これは自分が勤務していたときに感じた、重要なポイントです。
他士業の先生=顧客との仲介役になるから。
かつて自分が苦しんだ連携先。
「確認はできない。わからないなりに、うまくやってくれ」
「今週末までに手続きすると約束したので、早くやってくれ」
こうした仕事の回され方は、別に受けている仕事のスケジュール調整や謝罪からスタートします。
必要な情報が無いために、いくつものパターンの書類を準備するなど、効率も悪くなります。
事務所内の人間関係が良くても、こうしてブラックな労働環境の出来上がり。
連携をやめたいと思うことがあっても、補助者の立場ではそうした判断・決定はできません。
だからこそ所長や行政書士の先生には、連携先をきちんと見極めてほしいと思うのです。
途中で連携をやめるというのは非常に難しいと思います。だからこそwin-winになるような関係づくりが欠かせない。
お互いに助け合える関係であるからこそ、連携の意味があります。
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