行政書士の仕事は、よく「官公署へ提出する書類の作成業務」と説明されます。
なので文章力が必要?と思われる人もいるかもしれません。
が、文章力に自信がなくても行政書士業務はできます。
実務スキルとして、文章力の重要度はそれほど高くないと感じるからです。
その理由を説明します。
ここまで読んで、文章力磨いてきたのに活かせないの?
とがっかりされた方もいるかもですが、そんなことはありません。
文章力が活かせる場面や、自分が文章作成に悩んだ申請事例についても紹介します。
文章力は、さほど必要なし
下記の理由から、文章力がなくても業務はできます。
- 申請書は事実(所在地や役員名など)を証明書から拾って入力するものが多く
- 文章をつくるのは契約書や内容証明、理由書など業務の一部で
- 過去の控えや例文を参照&ちょっと編集で足りる
上記の対応を積み重ねていくことで、自然と記述するときのポイントや
書き方が身についてきます。
そもそも語彙力や表現力が、許可審査の結果を左右することはありません。
わかりにくい記述だと、補正指示を受ける可能性はあり得ますが、
修正すれば問題なしです。
作文はあるけど、ほとんどテンプレで大丈夫
自分が多く経験したもので、作文があるものはこんな案件です。
短い文章
- 産業廃棄物収集運搬業申請の事業概要や危険防止措置
- 農地転用申請書に記載する転用の理由
長めの文章
- 土地使用貸借契約書
- 遺産分割協議書(相続)
- 内容証明
申請書類は、行政のホームページに記載例が載っていることも多いです。
記載例がないものでも、ほとんどの案件は過去実績があります。
そうしたデータを参考に、内容に合わせて少し変えるだけです。
テンプレってどんな感じか知りたいという方へ、
自分が実際に使っていたテンプレを紹介している記事があります。
【農地法申請書】転用目的・理由の書き方&例文集
そもそも、文書作成の時間は業務の一部
意外と思われるかもしれませんが、行政書士の業務のなかで、文書作成の時間は
そんなに多くありません。
大きな案件ほど、証明書類の収集や、関係者との打ち合わせなどで
外出している時間が多くなります。
忙しい先生ほど、事務所に行ってもなかなか会えないものです。
文書作成以外の業務とは、具体的にどんなことをどのタイミングでしているのか。
これについては別の記事で紹介したいと思います。
例外①:自分が文章作成に悩んだ事例
多くはありませんが、文書作成に時間をかける案件もあります。
自分が今までで一番悩んだのは、農振除外の理由書です。
農地には転用ができない青農地というものがあり、
これを転用できる農地(白農地)へ計画変更してもらう申請があるのですが、
これに添付する理由書は文章力が必要でした。
転用できない農地を、転用できる状態に変えるというのは、それ相応の理由が必要です。
まずその理由を考えるのが難しく、その信憑性や切実さが伝わる記述も必要です。
農振除外の依頼は年に1,2回程度ですが、理由書には毎回悩み、時間をかけました。
例外②:事務所の先生が文章に悩んでいた案件
自分は担当外ですが、勤めていた事務所の先生は
入国管理の在留資格に関する「日本での活動内容に応じた資料」に苦戦されていました。
外国の方が在留資格を取る(変更する)申請で、
今まで学んできた内容と、就職先の業務内容が合致するように
過去の勤務内容や活動状況などを説明する文書です。
A4用紙1枚程度の資料、この内容を充実させられるかどうかが
許可を左右することもあると聞きました。
時間も労力もかかる文書ですが、これも在留資格が専門の事務所であれば、
過去の参考データも多いので、短時間で作成しているかもしれません。
過去実績がない案件は、文章力があると〇
前述した自分の経験や、所長の例にも共通しますが
取り扱い実績が無い(または少ない)案件については、
文章力があると有利です。
※案件によっては、作文が不要な申請もありますが、
仮に申請の理由や事業説明などが必要な申請だったとします。
お手本となる過去データがなく、記載例もない申請で
文章をイチから作成することになったら。
文章を書くのが苦手な人と得意な人では、時間効率がかなり変わってくるはずです。
日常的に文章力を活かせる場面とは
文章力があることは、決して無駄にはなりません。
顧客や行政とのコミュニケーションで活かすことができるからです。
例えば
- 必要書類の案内文を作ったり
- メールで状況報告をする場合
わかりやすい文章は相手に伝わりやすく、仕事効率化に繋がります。
- 電話や対面での説明も、考えた文章のアウトプット
といえますから文章力がある人は、正しく簡潔に伝えることができると思います。
申請許可の条件など、依頼人には難しい内容も多いので、
わかりやすく伝えられたら、信頼に繋がります。
こうしたコミュニケーション能力こそ、行政書士業務に欠かせないスキルです。
磨くべきはライティングよりコミュニケーション能力
行政書士業務をしていて、必要性を常に実感するのはこんな能力です。
文章を書くのが苦手な人でも、上記のことに尽力していれば
顧客からの評価も得られ、仕事でいい結果を残すことができるはずです。
これから行政書士業務をしたいと思っていて
- 文章力に自信がある人や
- ライティングスキルを学びたいと考えている人は
その能力をぜひコミュニケーションで活かすことを意識してみてください。
きっとあなたの強味になり、周りの評価や信頼に繋がると思います。
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