申請書は、3条、4条、5条とそれぞれに様式が違います。
この記事では、依頼の多い5条の申請様式の作成方法を解説します。
申請地と、申請人の形態を確認しておこう
申請様式について見ていく前に、まず共通事項として、以下の点をお伝えしておきます。
申請地 = 許可を取得したい農地
申請人 = 農地の所有者と、転用後に農地を利用する人
5条のとき、申請人の名称が下記のように分かれます。
- 売買の場合 = 譲受人(農地を買う人)と譲渡人(農地を売る人)
- 賃貸借の場合 = 賃借人(農地を賃料を払って借りる人)と賃貸人(農地を有償で貸す人)
- 使用貸借の場合 = 使用借人(農地を無償で借りる人)と使用貸人(農地を無償で貸す人)
例えば会社員Aが、農家Bさんの所有する農地を買って、自分の住宅を建てるときの申請は、上記1に該当。
申請人は、譲受人Aと譲渡人Bの2人です。
申請書を記入する前に、申請人はどの立場になるのか、確認をしておきましょう。
申請書の入手方法
申請書の様式は、市ホームページより入手できるところもあります。
その場合はダウンロードしたファイルを編集して使用。
様式がネットにない場合は、市の農業委員会へ確認します。
窓口まで取りに行かないと入手できないところも…。
自分が使用していたのは、県の「行政書士会 指定用紙」の申請書様式。
※「行政書士会 指定用紙」 は、行政書士会員の申請用です。
その他の方は、市町村指定の様式を使用します。
農地法5条 申請書の書き方
以降、申請書に沿ってどのように記載するかをお伝えします。
※市町村によって、書き方は違います。
※同じように書いても、補正が必要になる場合もあり得ます。
※初めて申請される方は、書き方を申請先に確認してくださいね。
日付
市によって、提出日なのか締切日なのか異なります。
気にしないところもありますが、初めて提出するときは確認しておくと安心です。
申請者
譲受人/譲渡人、賃借人/賃貸人、使用借人/使用貸人 の氏名を記入します。
申請者の下に代理人の情報を追加
行政書士の方が申請する場合には、
ここに代理人氏名、住所、書士登録番号、電話番号を入力し、職印を押します。
当事者の情報
「当事者の別」欄には、当てはまるものを記入。
- 譲受人/譲渡人
- 賃借人/賃貸人
- 使用借人/使用貸人
それぞれの氏名、住所、職業を入力します。
申請地の情報
「土地の所在」欄には市、大字、小字まで入力。
「地番」は〇〇番とか、〇〇番地の〇など。すべて登記事項証明書の通りに書きます。
地目については、登記簿は登記事項証明書の通りに。
現況は「田」または「畑」どちらか近い方を記入。
自分の申請する市町村では、たとえ休耕地であっても、地目現況は田または畑とする。
面積を記入する欄の右側、「利用状況」に「休耕地」と書くよう指示を受けました。
この辺の判断は市町村によって異なるので、申請先へ確認しておくといいです。
「面積」も登記事項証明書の通りに記載。
申請地の利用状況について
「利用状況」は耕作していないなら休耕地とします。休耕地なら、下記は「-」としておきます。
- 「10aあたりの収穫高」
- 「耕作者の氏名」
家庭菜園のときは、
- 「利用状況」は「自家消費」とし、
- 「耕作者の氏名」のところを譲渡人とし、
- 「10aあたりの収穫高」がわかるようなら記入。
収穫高が不明の場合は「-」で通る場合もありますが、市町村次第です。
記載が必要なら、申請人に確認します。
「市街化調整区域その他区域の別」は都市計画区域を確認して記載。
都市計画区域情報をホームページで公開している県や市もあるので、そこから拾う方法が一つ。
ネットの情報がなければ、市の都市計画担当の課で、申請地の計画区域を確認しましょう。
転用計画
「転用目的」は農地を何の用途に使うのか、「〇〇敷地」と表記します。
例えば、こんな感じです。
- マイホームにするなら、住宅敷地
- 自家用車の駐車場なら、駐車場敷地
- 事業としてアパート経営をするなら、集合住宅敷地
- 分譲住宅を販売するなら、建売住宅敷地
「事由の詳細」は申請人両方の立場から書きます。
【農地法申請書】転用目的・理由の書き方&例文集 で、実際に自分が書いた理由を、6つのパターンごとに紹介。
良ければ、例文をテンプレとしてお使いください。
「事業の操業の期間又は施設の利用期間」
下記のように記載します。
事業または施設の概要
「工事計画 第1期」は、工事着手予定の日付~完了日を記入。
あくまでも計画なので実際にずれても問題ありません。
※ただし、工事は許可が降りてからでないと着手できないので、許可日以降になるように設定してくださいね。
建物を建てる計画なら、
「建築面積」の欄には、配置図・平面図にある
を記載。図面にその情報が無いときは、図面に記載された作成者へ確認しましょう。
駐車場をつくる計画なら
面積は駐車場部分の合計台数分を入力。
図面に面積が載っていないときは、縮尺を確認した上で縦×横の長さを図り、計算して算出していました。
「所要面積」欄は基本的には左の小計をそのまま入力。
「土地の造成」欄の「所要面積」だけ、申請地の面積を記載。
併用地がある場合は、申請地と併用地の合計(敷地面積)を「土地の造成 所要面積」としてください。
様式二号(次のページ)の説明にいきます。
権利を設定、移転しようとする契約の内容
「権利の種類」「権利の設定、移転の別」については、
「権利の設定、移転の時期」は「許可あり次第」と記載。
「権利の残存期間」は、
「その他」欄は権利移動・移転の契約の状態、
「売買」/「贈与」/「賃貸借」/「使用貸借」を記載。
資金調達についての計画
左側の項目には、費用の内容と金額。右側には、費用の調達方法とその金額を書きます。
左側の費用合計=右側の調達金額 になるように記入。
※左右が一致しないと、計画が実行できない(実行するだけの資金力がない)ことになってしまうので。
例えば、住宅を建てる転用計画なら、このような記載になります。
- 左側(費用)は、土地購入費、土地整地費、家屋建築費に分けて金額を記載
- 右側(調達)は、住宅ローンを組んでいれば「借入資金」にその金額
転用することによって生ずる~の概要
こちらは、どの事例についてもこの文言にしていました。
「転用することにより、万一付近に被害が生じた場合には、申請人の責任において速やかに対策を講じ誠意をもって対処します。」
その他参考となるべき事項
申請書以外に提出する書類(添付書類)について、記載します。
各図面・証明書の名称と通数を記入。
以上、だいぶ長くなってしまいましたが、ここまでの項目が入力できれば、申請書は完成です。
お疲れ様でした!
一度、申請書を作成しておけば、次回は簡単です。
同じ市町村へ申請する場合には、それを編集して作成すれば迷わず入力が進むはず。
慣れてくると、図面に比べて申請書をつくるのは楽だな、と思えるようになります。
これだけの書類を完成させたことを自信に、これからもスキルアップをしていきましょう!
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